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⑦(7/10加筆修正)
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「……トールは俺を置いていくのが嫌で、気持ちを隠してたのか?」
「そうだよ!」
正直、互いに相手が自分を好きって気付かなければ、ここまで辛くなることなんてなかった。俺の場合は、自分からばらしちまったから余計タチが悪い。
多分、俺は愛しい人の傍を長期間離れるのが怖いのだろう。
元の世界の時は不可抗力だった。だからこそ、強く戻りたい気持ちはあれど、離れていることに関してそこまで苦しさを感じることはなかった。
けど、今回は違う。自分からこいつの元を離れる。自らコバルトに寂しい思いを強いる事になる。
そんなの、耐えきれるわけなかった。
「……トール」
「なんだよ」
「それなら、一緒に行けばいいのではないか?」
「どこに?」
「お前の故郷だ」
・・・
・・
・
「……は?」
コバルトの言った言葉を理解するのに、俺の脳は数秒かかった。
「馬鹿かお前?」
「馬鹿とはなんだ」
「馬鹿だろ。会社は? 屋敷は? いつ帰って来れるかもわかんねぇんだぞ? 責任感ないのかよ。やっぱり馬鹿だ。そうだ馬鹿野郎だ」
「人を馬鹿馬鹿言うな。会社はフリークスに全権を渡してしまえば、なんとかなる。元々あの会社はあいつが殆ど建てたものだからな。だとしても、方法が見つかったあと、少し時間を貰うことになるかもしれない」
あっけらかんと言い切るコバルトに、俺は呆れ半分、不安半分だ。そもそも、そんな簡単に手放していいものなのかよ。お前にとって、会社は大切じゃねぇのかよ。
「……いいのかよ」
念を押すように聞くと、頭を撫でられた。
「トールが俺から離れたくなくて、俺だって離れたくない。けど、お前は元の世界に1回帰りたい。そうなれば、この方法が最善だろ」
「……」
「お前は自分の事になると、人に話さず自分だけで解決しようとする。それは、素晴らしいことだが、もう少し俺を頼れ」
ポンポン頭を撫でられ、じんわりと涙が出た。
くそ、カッコよすぎだろ。
ほんと、何度惚れ直せばいいんだよ。
「コバルト」
「なんだ?」
「俺のわがままに付き合わせてごめん」
「別に構わない。それに、お前の住んでいた世界は見てみたかったからな」
今から楽しみだ。そんな事言ってるコバルトの顔を見てたら、すっと心から辛いものが抜けていくのを感じた。本当に、コバルトはすごいな。
「コバルト」
「なんだ?」
俺は一瞬、言い淀んで……決意したように言った。
「好きだ。俺と付き合ってくれ」
決死の告白に、コバルトは驚いたような顔した後、呆れた表情になる。ついでにため息も吐きやがった。
なんでそんな態度になるんだよ!
「……トールは変な所できっちりしてるよな」
「うるせぇ!」
思わず叫ぶ。ここまで好きになったのは、コバルトが初めてだから、このまま流れで恋人とか、俺は絶対に嫌だったんだよ!
けど、絶対こいつからは言わねぇし。なら、俺から言うしかないだろ!!
「答えは、はい以外認めねぇ!!」
「それは聞く意味があるのか?」
「いいだろ。言えよ」
少し強く背中を叩きながら促すとコバルトは答えてくれた。
「俺もトールが好きだ。喜んで交際を受け入れる」
「かた!」
「……こういうのは、初めてなんだ」
顔を赤くして、そっぽを向くコバルトに、俺は腹を抱えて笑ったら、触手で叩かれた。
照れ隠しってことにしてやろう。
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