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②(7/23)加筆修正
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《今日は泊まっていけ。トールは1晩起きないよう魔法をかけておいた。朝日が登る前までにどうするか選べ、コバルト》
「……」
師匠に貸し与えられた部屋。綺麗な調度品に混じって置かれた大きめのベッドには、軽い寝息を吐きながら眠っているトールがいる。
「選ぶ、か」
俺は頭を抱えてしまった。
トールの願いは元の世界に一度もどること。俺の願いは、トールの世界に行き、トールと共に、無事こちらの世界に帰ってくること。
俺は、トールの願いを叶えてやりたい。だが、それを叶えると、代償に皆を殺してしまう。
「……どう選んでも悪い方向にしか進まなそうだ」
念の為、師匠に、俺よりも魔力が低いものが行けば問題ないのかと聞いたら、それだと対価の魔力が足りず、向こうに着く前に死んでしまうらしい。どっちにしろ、行くなら俺しかいないらしい。
トールの事だ。この事を話せば、無理矢理納得してくれるだろう。
けど、それではきっと、俺もトールもいつかどこかで後悔する。それは、出来るなら避けたい。
「たどしたら、どうしたらいいんだ……」
悩んだ所で答えは出るはずもなく、かと言って考えないわけにもいかず……。既に負のスパイラルに入っている気がしてならない。
「せめて、俺の魔力の補給がどうかなればいいのだが」
俺の化け物じみた魔力を補うなんて、そう簡単な事では無い。だが、これを解決すれば、諸手を挙げてトールの世界に行く事が出来る。
「なにか……」
そこでふと思い出した。確か、この浮島を浮かす為には、魔石が使われていた筈だ。しかも、それは元々、莫大な魔力を秘めていたはず。それさえあれば、魔力の回避はできるのではないだろうか?
「だが、それをあいつが無償でくれるか?」
呟いて、即座に首を横に振った。ありえない。絶対にありえない。仮にくれたとしても、何かしらの対価を要求して来るはずだ。
「だが、一か八か、頼んでみるか」
頼みたくない。そう思っているせいか、重い腰を上げた俺は、師匠の部屋に向かったのだった。
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