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「この浮島の魔石が欲しい? ……誰が渡すか」
「そうなるよな……」
師匠の部屋に行き、試しに聞くと予想通りの返答が返ってきた。多少でも譲歩してくれるかと思っていた俺が馬鹿だった。
「言っただろ。仲間を犠牲にするか、トールに諦めさせるかのどちらかを選べと」
「俺はどっちも嫌だ」
この件は、俺とトールのわがままだ。それに誰かの命が天秤にのってくるなら、回避するための方法を考えるしかない。
「俺は、第三の選択があると思っている。その為に、考えられる全部の可能性を試してみるつもりだ」
「……」
「師匠、俺はその選択のどちらも選ばない」
無様でも、カッコ悪くても構わない。トールだってそうやって、足掻いてきた。
なら俺だって、最後まで必死に探してやる。それが恋人として出来る、最大の事だろう。
暫く睨むように師匠を見つめていたが、不意に向こうが盛大に溜息を吐き出した。
なんなんだ、いきなり。
「コバルト、そなた変わったな」
「なにが?」
「昔はもっと効率的に動くやつだったではないか。それがまぁ、非効率としか言い様のない事ばかりしている」
やれやれなんて、わざとらしい態度を取ってくる師匠に、俺はイラつきを覚えてきた。
確かに、前の俺はこんなことをする事はなかっただろう。だが、それはトールに出会う前の俺であって、今の俺ではない。
俺は、あいつに出会って、変わった。もしかしたら、他者からみれば悪い変わり方かもしれない。それでも、俺は前の自分よりも、トールを愛している今の自分の方が好きだ。
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