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④
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俺は、山岸と一緒に仮眠室にいた。机の上には冷えた麦茶。そこそこの時間がたってるせいか、結露が机に出来ていた。
山岸とは、小学生からの付き合いで、高校も一緒だった。喧嘩が好きで一匹狼みたいな事をしていた俺に普通に接してくれた、数少ない友人の1人だったりする。
それと、今日初めて知ったんだが、山岸は霊が見える体質らしい。お陰で俺を見つけられたとか。
「……なるほど、異世界ねぇ」
俺は山岸に全て話した。今この状況で、山岸以上に頼りになる人が思いつかなかったのだ。山岸は、俺の話を聞いて、そう言うと黙りこくってしまった。俺は嘘を1つもついてない。だが、この話自体が嘘みたいな感じだ。馬鹿だろお前、何言ってんだって言われればそれで終わりだ。
「馬鹿だろお前、何言ってんだ」
「っ!」
「って、言ってやりたいとこなんだけど、お前、変な所で真面目だったからな。嘘じゃないんだろ」
「え?」
「信じるよ。鉱が言ってること」
ニカッと笑う山岸は俺の知ってる彼と同じ笑い方をしていて、涙が滲んだ。やっぱり、こいつは山岸なんだな。
「3日しかいれないんだろ? それなら、そのコバルトっていう人も一緒に俺のマンションにこいよ」
「いいのか?」
「野郎1人で住んでるからお前の言ってる屋敷よりは断然狭いけどな。それで良ければ」
「助かる!」
よっしゃ! これで衣食住は確保出来た! 俺こんな状態だからな。頼れねぇし、どうしようかと思ってたからな。
山岸の提案は願ったり叶ったりだ。
「ありがとう。山岸! 世話になる」
「昔、お前には結構助けられたからな。その礼だ。気にすんな……。けどまぁ、本当にあの日から変わってないんだな」
しみじみと言われた言葉に、俺はまだ聞いてないことがある事を思い出した。
そうだ。俺ばっかり話して、山岸に何も聞いていなかった。
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