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⑥
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確かあそこは、俺と山岸位しか近寄らなかった。まぁ、俺が怖がられていたのと、勉強か部活にしか興味のねぇ奴らばっかだったからな。あんな校舎の隅っこのすぐに忘れられそうな場所、俺がいなくなればすぐにボロボロになっちまうって思ってたのに。
「透琉が帰ってきた時に、全部変わってたら可哀想でしょ。だから、ここだけでも昔のままにしておきたいの」
「あ?」
「お前の母さんの言葉だよ。お前が死んだ後、校長に頼み込んで、植物園の管理人になったんだよ。今もあそこの管理はお前の母さんがしてるよ」
「……なんで」
だって、俺は死んだって。山岸もさっきそう言った。俺の死体を見たと。
なのに何故、母さんは俺が生きてるみたいな事を言ってるんだ……?
「俺とお前の母さんもおやっさんも、お前がどこかで生きてるって信じて疑わなかったからだろ」
「だって、お前さっき俺の死体見たって!」
「確かに見たけど、なんか違和感あったんだよな。お前なんだけど、お前じゃないみたいな」
「は?」
「どうやら、俺だけじゃなくて他の人も感じたらしくてな。なら、待とうってなったんだよ。あいつは必ずここに帰ってくるからって」
植物園の管理、俺も最近手伝ってんだって笑う山岸に、俺は目頭が熱くなるのを感じた。遺体が出てるんだ。そこで死んだと普通なら思うだろう。
なのに、こいつらは俺の事を待っていてくれた。生きてるって信じてくれた。
それがとても嬉しかった。
「それに、お前、殺しても死にそうじゃないタマじゃないしな」
「なんだよそれ」
「鉱を見てれば、誰だってそう思うだろ」
それに、お前は俺の親友だからな! と俺の知ってる笑みを浮かべる山岸。
こういう時、思う。俺は本当にいい仲間を持ったなと。
「それじゃ、コバルトさん迎えに行くか」
「そうだな」
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