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はじめまして
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山岸と一緒に植物園に行くと、コバルトはまだ寝ていた。けど、植物の近くにいるせいか、幾分か顔色が良くなったように見える。
「コバルト」
「っ……」
声をかけると、ゆっくりとコバルトの目が開く。ぼんやりとした視線だが、俺を見つけて微笑んだ後、山岸を見つけて、その顔に緊張が走る。
いや、緊張というよりは、警戒か。
「はじめまして、コバルトさん。俺、鉱の親友の山岸珊瑚。よろしくな」
「自分で親友って紹介するやつ初めて見た」
「なんだよ。別にいいだろ。コバルトさんとこいつの事情は聞いてる。だから、そんなに警戒しないでくれ」
「……」
コバルトは、無言で山岸を暫く見たあと、魔石に何かを書いて俺に見せてきた。
なになに……。
『この人間、フリークスみたいな奴だな』
「ぶはっ!」
思わず噴いた。いや、コバルトは至って真面目に言っただろうし、改めて考えると、山岸は確かにフリークスに似てる。笑うところじゃねぇって言うのは分かっていた。
けど、なんというか。俺もコバルトもひかれる相手は似たような人なんだなって思ったら、こいつと俺って実は似たもの同士なんじゃねぇかって思ってさ。
なんか、そう考えると少し笑えちまったって訳。
「なに笑ってんだ、鉱」
「いや、まぁ、ちょっとな」
「まさか、コバルトさんに俺変態って思われた!?」
「あの挨拶でなんでそうなる。向こうの世界にいる奴に似てるなって話をしてたんだよ」
「まっ、俺みたいな奴ならそこら辺転がってるだろ」
「山岸みたいなのが、その辺に転がってたら、ウザったくて道あるけねぇな」
「ひでぇ!」
山岸と笑いあってると、コバルトが何か書いて、俺に見せてきた。
『そういえば、鉱って誰だ?』
「俺のこと。俺の名前は鉱透琉だからな」
『トール、ではないのか?』
明らかにしょんぼりしているコバルトの頭を撫でたい衝動に駆られた。くそ、なんでこんな時、こいつに触れないんだ。
めっちゃ撫でて、抱きしめて、キスしてやりてぇ。
「お前は、トールでいい。いや、トールって呼んでほしい」
『何故だ?』
「俺とコバルトが初めて通じた言葉だから」
そう言って笑うと、コバルトは、目を丸くした後、泣きそうな顔で頷いた。
くそ、なんでこいつこんなに可愛いんだよ。
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