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そんなこんなで、山岸の部屋に入ったんだが、そこからもコバルトの混乱と興奮は収まらなかった。
「 !」
「どうした?」
『これはなんだ!?』
「テレビ、いろんな映像が見れる」
山岸に頼んでテレビを付けると、コバルトはビクッと体を跳ねさせ後、からくりが分からないのか、テレビの裏をしきりに見ていた。思った通りの反応に、俺は未だにキョロキョロしてる目の前の恋人を見て笑っちまった。
『トール! この箱に人間が入ってるのか!? 』
「違う違う。ほかの場所でやってるのを電波で受信してるんだよ」
『でんぱ、とはなんだ!?』
「あー。山岸先生、説明よろ」
『俺、生物担当なんだけど!?』
といいつつ、コバルトに丁寧な説明し始める山岸。こいつ、昔から変に面倒見は良いし、人に教えるのが得意だからな。教師になったって聞いた時は、天職だなって思ったのは内緒だ。
『やまぎし! これも教えてくれ!』
「はいはい。これはね……」
今はコバルトは、冷蔵庫に興味深々らしい。パカパカ開けては、出てくる冷気に驚いていた。
「 !!」
「どうした。コバルト」
『お前の世界はすごいな!』
まぁ、あの世界は魔法や化け物がいる以外、1世紀も2世紀も遅れてるからな。そもそも、科学や電気がない時点で、未知なる原動力が冷気を出したり、箱に人間を写してるという事になるだろう。
普通に考えれば、向こうの世界の俺みたいに、恐怖とか警戒とかしてもおかしくねぇんだけどな。多分、コバルトがここまですんなりと受け入れてるのは、俺の信頼と、コバルトの元々の好奇心、あとは言い方悪いが、社長としての未知を取り入れようとする貪欲さだろうな。
今も会社に使えないかって、必死にメモとってるし。
「すごいなコバルトさん。俺が話したことすぐに吸収しちゃう」
「まぁ、社長だからな」
「社長もあるんだろうけど」
「ん?」
変に言い淀む山岸に首を傾げながら続きを促すと、多分と言いながら口を開く。
「お前の為じゃないの?」
「俺の?」
「向こうの世界でも、こっちの生活と同じになるようにとか思ってるんじゃないの?」
炊飯器が気になるのか、開いたり閉じたりしているコバルトを見た後、俺ははっきりと言った。
「多分、それは無いだろ」
「そうなのか?」
「そもそも、向こうじゃこの環境を整えるまでに俺は死んじまうだろうし、俺自身がそんな事、求めてねぇ」
確かにこっちの生活は快適だけどさ、あっちには、あっちの良さがあるし、俺はあの世界の生活も気に入ってる。
だから、今更俺のためにこっちに合わせるなんて事はしなくていい。
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