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俺の知らないその後
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「お前が死んだってなって少し経ったあと、お前の母さんぶっ倒れて入院しちゃったんだよね」
「は?」
山岸の言ったことが一瞬理解出来なかった。
母さんが、入院した?
「母さん大丈夫なのかよ!?」
「うお! だ、大丈夫だよ。それにもう10年も前の話だし、今はぴんぴんしてるよ」
「良かった……」
どっと力が抜けた。俺のせいで母さんにもしもの事があったなら、それこそ俺は死んで詫びるしかねぇ。
俺が1番果敢な時期に、女手一つで育ててくれた母さんへ親孝行する前に、この世界からいなくなった超親不孝者が言う台詞じゃねぇけどな。
「どうやら、鉱は死んでないって分かってても、目の前に息子にそっくりの死体があって、葬式なんかやったら、本当にこれが鉱なんじゃないかって思っちゃったらしくてさ。そこからはもう下り坂のように体調悪くなったらしい」
「……」
「お前の母さん、変に1人で解決しようとする所があるじゃん。それが余計体調の悪化を招いたらしい。仕事場でいきなりぶっ倒れて、救急車だったらしい」
まさか、母さんがそんなことになってたなんて。
「母さん、自分で決めたことに関しては、頑固な所あったからな」
「 」
「なんだコバルト」
『トールの性格は母親似なのだな』
「は?」
コバルトの言葉に、俺は素っ頓狂な声を上げる。
確かに俺も変に自分で解決しようとして、誘拐事件とかに巻き込まれたりとかしたけど、その後はきちんとコバルト達に頼ったし、当初の予定とはちょっと違う形だけど、こうやって戻ってくることもできたと思ってんだが。
「コバルトさんなんだって?」
「俺の性格は母さん似だって」
「あー、分かるかも」
「山岸までなんだよ。しかも、1度決めるとこれまた変に頑固なんだよな」
ーーコクリ。
「てめぇら……!」
くそ、めっちゃ殴りてぇ。この体になった事にここまでイラつきを覚える時が来るとは、夢にも思わなかったぜ。
もしも、向こうの俺の体とリンクしてたら、胃に穴あくんでは、と考えちまう程のレベルだ。
「おい山岸、早くその後を話せ!」
「怒らない怒らない。その後だな、今から話すから」
「早くしろ!」
「はいはい。その後だけどね。まぁ、鉱のお母さんが倒れたって聞いて、俺は母さん連れて、慌てて病院に行ったのよ。葬式以降の再開だったんだけど、それはもう、疲労困憊って感じでさ、顔色も悪かったし、手も細くなっててさ。なんか、申し訳ないって感じだった」
「……」
「そんで、俺達が病室入った直後、まぁお前の父さんが土下座してたわけよ」
「は?」
いきなり話がすっ飛んだように感じたのは、俺だけか?
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