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その後、俺は皆と一緒に納涼祭に来ていた。
この地域で行われる唯一の夏祭りのせいか、俺が知っている頃同様、かなりの人で賑わっていた。
久々の太鼓の音。ごった返す人混み。下駄の擦れる音や、浴衣姿の人も沢山いる。
屋台のいい匂いは、空腹を感じない今の体でもヨダレが出そうなほど、美味そうだ。
「コバルト、好きな物食べろよ。山岸が奢ってくれるから」
「俺かよ!?」
といいつつ、今コバルトが買ったりんご飴の代金払ってくれてるしな。さすが俺の親友。
「コバルト、美味いか?」
ーーコクリ。
「そっか」
少し甘酸っぱい飴の味を感じながら、俺は辺りを見回す。10年経っても、変わらない祭り。それは、過去を思い出す引き金にもなる。
そうだ。俺はいつも花火をーー。
「コバルト。花火綺麗に見える場所あんだけど、そっちいかね?」
「?」
「初めての花火だし、邪魔されねぇ場所で見たいだろ?」
あっちの世界じゃ上空に浮島やらドラゴンやら飛んでたから、そもそも花火の概念がないからな。きっと、これが最後だろうし、コバルトには綺麗な花火を見て欲しいと思った。
『そうだな。それにトールと2人にきりで見たい』
「なんでだよ」
『花火は恋人同士で見るものなんだろ?』
「はぁ!?」
思わず素っ頓狂な声をあげちまった。熱が一気に頬に集まる。なんだそのロマンチックなシチュエーション、最高じゃねぇか。
……じゃない!
つうか、こんな事、コバルトに教えられるのは!
「山岸お前か!!」
「うお! なんだよ鉱! つうか、体すり抜けんな! 気持ち悪い!!」
暴力はなにも効かないので、体をすり抜けていたら効果てきめんだったらしい。全身鳥肌たった山岸が見れて少しスカッとした。
「いきなりなんなんだよ!!」
「お前、コバルトに花火は、こ、恋人でなんちゃら言っただろ!」
「あー。言った。けど、普通のカップルはそうだろ。そこでチューしてみたりとか、青姦したりとか」
「なにいってんだてめぇ!」
「だから体すり抜けんな!!」
「うっせぇ! このエロ教師!」
「だぁれがエロ教師だ!!」
ぎゃいぎゃいやってたら、うるせぇ! 山岸はおやっさんに殴らててた。
やーい。ざまぁみやがれ。
「トール」
「なんだコバルト?」
たんこぶ作ってる山岸を見て腹を抱えて笑っていると、コバルトが魔石を俺に見せてきた。
『トールは俺と2人にきりで見るのが嫌なのか?』
「嫌じゃねぇよ、むしろ大歓迎だ」
出来ればキスしたり、抱き合ったり、手を繋いだりしたかったけど、この体じゃ無理だからな。
「あのバカ置いて、行こうぜコバルト 」
ーーコクリ。
「じゃ、山岸、俺コバルトと少し離れるから説明よろしくな」
「ちょっ! 鉱!」
置いてくな! ばか! と叫んでいる山岸を置いて、俺とコバルトは人混みを離れた。
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