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終わりと始まり
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「……ん」
気付いたら閉じていた目を開ける。映ったのは、見た事がある景色。これは、そうだ。ここはウィスの城で、今俺がいるのが、俺達が泊まってた部屋だ。
「んー?」
ぼんやりとする頭で、辺りを見回す。どうやら、うつ伏せでベットに寝ているらしく、ふわふわの布団がとても気持ちよかった。
……ん? ふわふわ?
「……触られる」
思わず、ぽふぽふと布団を叩く。手はすり抜けることなく柔らかな感触を掌から伝えてきている。どうやら、元の体に戻ったみたいだ。
確か、俺はコバルトと一緒にこっちの世界に帰っていたはずだ。けど、視界がホワイトアウトした後の記憶がさっぱり無い。あの後、どうなったのか? どうして俺はベットに寝ているのか? 今の状態じゃ何もかもわからねぇ。
「そうだ、コバルト!」
ベットにから起きあがり、探すがコバルトの姿はない。
まさか、帰ってくる時になにかしら失敗したのでは。そう思ったら、全身に冷水を浴びたような感覚に陥った。
そもそも、この問題は帰ってきた後の方が大きかった。コバルトは枯渇した魔力が魔石で足りたのか? 世界を飛び越えた影響で何かしらの不調が来てないだろうか?
コバルトも俺みたいな存在になってしまったのか。
「っ!」
部屋を飛び出し、片っ端から他の部屋の扉を開いてあいつを探した。とにかく、あいつの声を聞きたくて、無事な姿が見たくて、無我夢中で城の中を駆けずり回っていた。
「コバルト! コバルト!!」
開ける部屋が多くなれば多くなるほど、焦りと混乱が俺の心を締め付ける。
苦しい。けど、コバルトが、まだコバルトが見つかっていない。止まりそうになる足へそう叱咤し、俺はさらに足を動かす。
「コバルト! コバルト!!」
お願いだから、返事してくれ!!
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