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李緒との出会い
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なんだか家にいるのも落ち着かなくて夜の6時頃いつも通ってる本屋に行った。2年に進級してからの通いつけだったから見慣れた店内に少し安心する
かなが先生と付き合いはじめて
嬉しいはずなのに素直に喜べなかった
「はぁ…」
困難で落ち込むとか俺女々しすぎ…でも流石に凹む
だって…だってさ…今までそばにいて
もしかして好きなのかな?って自分の気持ちに気づき始めた頃にはもう、相手は好きなやつ居て
どう頑張ってもそいつには勝てなくて
応援したくても…応援できるわけない。
行きつけの本屋で気分転換しようと思ったけど
その本屋でも「失恋」というキーワードに目がいってしまう
こいつ、振られた時どんな気持ちだったのかなとか、立ち直れたのかなとか、どんなに悲しくて泣いたのかなとか
無駄に考えすぎて情が湧いた。
自分を見ているようで同族嫌悪すらした気がする
そんなこんなで本屋に来たのに落ち着かなくて
ただただ自分がウザったくて女々しくて
自分を落ち着けるために
結局本屋の外の電柱に寄りかかった
「…」
外は涼しい、昼はそこそこ暖かいが
夜になるとまだ冬を感じる肌寒さが残ってる
その風が自分の熱を落ち着かせた気がした
「あの…大丈夫ですか?」
小柄でちんまりとした女の子だった
まだ中学生ぐらい…だと思う
少し幼さの残った顔立ちに、純粋な目だ
でも何故か本屋の制服を着ていて
バイトしているぐらいなので
実は高校生ぐらいなのだろうか。
「あの…?」
話しかけられたのにぼーっと見つめていた俺に
心配そうに首を傾げて再度尋ねてくる
「え、あ、大丈夫、です」
「なんだ〜、よかったぁ…へへっ!」
表情がコロコロと代わり少し面白かった
八の字になっていた眉毛も今じゃ弓型になってる
向日葵みたいな笑顔で笑いかける彼女は
ホットしたように顔が緩んだようだ
電柱の前にもたれ掛かる俺の隣にちょこんとしゃがみ込んで俺の顔をのぞき込むようにしてニコニコしてる
「あ!お名前なんていうんですか?」
「俺は…鶴飼輝…です」
「へぇ!素敵な名前ですね!私は日比野李緒って言います。李緒って呼んでください」
しゃがみ込んだ李緒と名乗る彼女は
輝の名前を聞いて嬉しそうに笑っていた。
そんな彼女を見ると今まで落ち込んでいた輝も
自然と笑っていた
彼女は落ち込んでいる輝に同情する訳でもなく
ただ隣でニコニコと笑ってくれていた
もしかするとそれがいまの輝にとって一番
安心できたのかもしれない
それが李緒との出会いである
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