アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ちょっと昔話につきあってくれない?
-
『本田、最近喧嘩しなくなったな』
『んあ?そりゃあ、好きなやつ出来たからな。』
自慢げに鼻を鳴らして、満面の笑みで俺を見た
無駄にその笑顔が輝いて見えて顔を直視するのができない
腹立つほど顔が整ってるこいつは何していてもかっこよかった。だからついて行くのもあるのかもしれないけど
『リア充様は気楽でいいですね、ったく…』
『お前も笑えよ』
『は?』
『お前大して喋るほうじゃないだろ、でもさ俺お前の笑った顔とか、涼しいぐらい爽やかな顔とかすっげぇ好き』
もちろんこの時、恋愛感情というのは
あるわけないので、ただのじゃれあい
もちろんそれだけだ
でもこいつはたった一人の仲間だった
俺が性格を作り始めたのはこれがきっかけ
優しくて、クールのように見えるけど
とても爽やかでよく笑う、そんな人
おそらく憧れだったのだ
本田という人間が、俺にとっての原点で
俺を作り上げた第2の人格だった
出来ることならあいつの全てを自分に封じ込めたら
とても良かったのに、そういうわけにも行けない
あいつにはどう足掻いてもなれない
でも求めてくれる人がいるなら、
なんて思うと、その癖になった行動も
治そうなんて今更思わなくなった。
『俺が東京1番のうつけ者になったらさ、どう思う?』
『どう思うって…ヤバいやつじゃん』
『そうなるかァ〜…俺はな、東京のやばいヤツらをまとめられるような人間になりたい』
こいつは本気らしい、なんせ本田は
理不尽な喧嘩を無くしたいんだと、
どちらかに非があってその喧嘩は仕方ないし、身内同士なら、好き勝手やればいいのだ
だが、他者を巻き込んでまでする喧嘩は絶対するな
毎回そう言ってるのを聞いていた俺も
その夢にはだいたい納得できた。
壮大だが、いづれ叶うのではないか、なんて
そこで生まれたのが本田連合軍東京取締委員だかなんだか
長い名前だったはず
作り上げてしまった本田に俺は一生超えられない壁
ができた気がしたんだ、それは仕方ない
不器用なのは、自分でも少し自覚していた
彼女を作るわけでもなく一人で悠々と仕事して
借金返済して、父親のことを支えた
父親の会社がおおきくなるにつれて、俺は
初めて、本田に近づけたんじゃないかな、なんて思った
近ずけでも今更この性格で定着してしまえば
誰も本当の自分を見てくれるわけでもなく
ただのうのうと生きるだけになった
でもそこで出会ったのは、彼方
お前だよ
「俺?」
「そう、やっと素でいられる落ち着く人」
「そ、うなんだ」
戸惑ったように俯く彼方が愛おしく感じて
ついつい握った手を強くしてしまう
可愛い、こんなに好きと思えたのも、こんなに守ってやりたいと思えたのも初めてかもしれない
そんなことまでは言わないけど
「次は彼方の番」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 85