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48話「笑いかけた」
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誰かが負けるなと言った。
そういう話しだろうか。
誰かが勝てと言った。
そうい問題だろうか。
目の前に広がっているのは、残酷なほどに青い空だった。
これからしようとしていることを丸呑みして、受け入れて。
全部知った上で笑いかけてくれている様な、真っ青な空だった。
カタ
カタ
ああ、脱ぐんだっけ、靴は。
空ばかり見ていたから、ぼんやりしていた。
さっきまでがしゃがしゃとうるさかった金網を登って、降りて。
緑色のそれの向こう側に、今、立っている。
「皮肉だなあ」
俺は大きく息を吸い込んだ。
俺の心情を表すように、空は泣いてはくれない。
真逆で、晴れ渡っていた。
履いたままの靴を脱ぐ。
それから、「じゃあ、俺がその顔するよ」と。
空に笑いかけた。
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