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69話「受け入れた」
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いくら願っても、きっと俺の目の前にいる人は俺を好きにはなれないんだろう。
でもそれを批判したりするよりも、理解できないと嘆くよりも。
さっき、俺のために苦しんで、悩んで、泣いてくれたこの人のことを信じて。
ほんの少しだけ、欲張らせてほしい。
「それだけじゃあ、さすがに。満足できないから」
「うん・・」
「だから、」
人を好きになるのは素敵なことだから。
それを止める必要は無い。
愛してもらえないのなら、彼の分も含めて、俺が彼を愛せたらいい。
「と、友達以上、恋人未満・・で、どうですか」
顔が熱くて、恥ずかしくて。
それでも二回目の告白を、千田は泣きながら頷いて、受けてくれた。
「それで、いいの?」
泣きながらクスクスと笑っている。
俺はいっぱいいっぱいなのに。
「い、いやあの、いや・・そ、そっちこそ・・その」
「俺・・キスとか、できないよ?」
「う、うん。わかってる」
「お前、絶対無理だろ」
「だ、大丈夫・・だいじょうぶ・・だと思う」
頼りない返事にまた笑う。
「・・他に、好きな人が出来たら、すぐに言って。付き合ってる訳じゃ、ないんだから」
千田はどこか、寂しそうに言った。
「そういうことは、言わなくていい!!多分、ないから!!」
「うん」
こういうときばかり、年上っぽい笑顔。
「・・そういうのは、しなくていいからさぁ」
恥ずかしい。
顔が熱い。
体も熱い。
吹いて来る風の冷たさが丁度いい。
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