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教師は、沢山の実験器具等をしまってある棚の前で、顎に手をついていた
僕に気付いた教師は、首を少し傾けてにこりと笑う
「今日は学校へ来なくてもいい日だよ」
そう言いながら教師の口元が綻ぶ
「…先生の名前、何だっけ?」
「ははっ」
僕の言葉に、穏やかに笑う
「それを聞きにわざわざ来たの?」
「…いえ」
そう答えてから僕は少し横を向き、首筋に残る痕を見せた
教師は一瞬顔を曇らせ、直ぐに穏やかな表情に戻る
「……おいで」
手招きをされ、僕は中に入る
背後でバタンとドアが閉まると、狭い部屋が一層狭く感じる
黒の遮光カーテンが締め切られたまま、教師は明かりを消した
動揺する僕をよそに、教師は何やらがさごそとしている
そして次の瞬間、下から光が照らされ、天井が明るくなる
見上げればそれは
プラネタリウムそのものだった
「……綺麗」
そう呟くと、教師はクスッと笑った
「そうだね…」
教師も一緒に天井を見上げる
そういえば最近
空なんて全然見てなかった…
きらびやかで妖しく光る夜の世界にも
ちゃんと空には綺麗な星空が
変わらずあるのを忘れていた……
僕を取り巻く環境も
僕自身も
どんなに変わろうと…
そんな事を考えてたら
目頭が熱くなり、涙が溢れそうになった
本物の夜空を見る
どこまでも広がる闇に
やはり星など殆ど見えない
"またおいで"
僕に何があったのか、やはり教師は何にも聞かなかった
アパートへと帰る
…と、玄関口にスーツ姿の男性が立っていた
「……神谷、さん」
シンは僕の存在に気付くと、こちらに体を向け
口角を少し吊り上げた
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