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そのままの勢いで、凌が住むマンションまで走った
…はぁはぁはぁ
息を整えようとしても
中々上手くいかない…
夜はまだ肌寒いというのに
じんわりと汗をかいている
凌の部屋の前まで来ると
チャイムを鳴らした
「…さくら、どないしたん」
驚いた顔のまま、凌は僕を見た
僕はまだ息が整わず、言葉が出なかった
「まぁ、入って」
そう言われて中に入る
玄関のたたきには、見覚えのない靴があった
凌の背中を追って広いリビングへ向かうと
そこにはシンの姿があった
入り口付近に立っていたシンは、僕の顔を見て片眉をピクリと動かした
部屋の奥の方にあるソファには、誰かが二人座っている
「愛沢さん…」
「…まぁ、丁度エエやん」
凌はシンにニヤリと笑った
僕は、ソファに座っている人を知っていた
凌に腕を掴まれ、僕はソファの近くに誘導された
「この子がその被害者や」
そう凌が言うと、二人が立ち上がって頭を下げた
「この度は、樫井が……」
「口先だけの謝罪ならいらんわ」
凌が被せる様に強く言う
「他に誠意の見せ方があるやろ」
凌が悪い顔になる
その隣に立っていた僕は
頭を深く下げた樫井の後頭部を眺めていた
媚薬で僕を思い通りにした人
アゲハの代わりにした人
丸め込んで揉み消そうとした人
そんなズルい人が
僕に頭を下げている…
「…はぃ」
樫井の隣にいたマネージャーらしき人が、鞄から厚い封筒を取り出し凌の前に差し出した
それは紛れもなく、金
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