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そして日曜。
もちろん先生は車を運転できないし、俺も免許を持ってない。ローカル線のはしっこの、そこから更にタクシーで山の麓まで行く。目的地はハイキングコースを進み、途中、道をすこし外れたところにあった。
当たり前に誰もいない場所。
見えないけれど、川の流れる音がずっとしている。どこかにキジがいるらしい。風のふくたびに梢のざわめき。気付くと汗ばんでいる。先生は涼しげに歩みをゆるめない。
そうしてたどり着いたのが目的のラブホテルだった。
「先生。あの、」
「こういうコト、好きでしょ」
「えっ」
まあそれなりに。
恋愛と性の経験は積んでいるので、ラブホくらい行ったことはある。だけれども。まさか。こんな。
「……こういう、トコは、好きですけどね」
「うん。良かった」
いや良くないし。良いんだけど。ていうか。だったら最初から言ってくれればいいのに。ちゃんと。いや、聞いたけども。なんとなくは。ただ、これ、ラブホっていうか、
「廃墟じゃん!」
混乱して、俺は思わず叫んだ。
「うん。昔栄えたラブホの廃墟だよ。次の小説でここモデルにしようと思って」
「廃墟じゃん…………」
「君とまともなラブホに行くわけにもいかないでしょう」
「廃墟……」
「好きでしょう」
「はい」
「うん。良かった」
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