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最近、付き合い悪くない?
まりあに言われた。ごめんと謝るが、セックスの約束はしない。性欲はある。けど、女を抱きたいとは思わなくなってしまった。
あんなに居心地のいい関係だったのに、なんでだろう。もう満たされてるから要らないって、思ってしまう。全然してないんだけど。
それで気まずくなるような関係でもなく、まりあとは普通に遊ぶしご飯も食べるし連絡もとる。きっとあいつのことだから、新しい相手はよりどりみどりだ。
円城塔とはやみねかおるの新刊を買いに書店へ寄ったら、佐久間めろんの小説が大プッシュされていた。なんか、妖怪退治みたいなやつ。またアニメ化するらしい。興味なー……と素通りしようとしたら、サイン会の日程が貼られていた。え、ここに来るの。
なんとなーく嫌な予感がしたので、それとなく先生に聞いてみる。
「え? 会わないよ?」
ぽかんとした顔をされたので、拍子抜けした。
「あれは忙しいしね。担当が付きっきりだから、時間ないと思うよ」
ふーん、そうなんだ。
「行くの? サイン会」
「行かない」
即答する。苦笑された。
「佐久間はこの家に来たこともない」
「えっ、来たことないんですか?」
「あれは怖いものが人一倍苦手だから。……ここ、お化け屋敷って言われてるでしょう」
「…………」
「…………疑ってる?」
「疑わねぇっす。え、おばけ苦手なのに妖怪出てくるラノベ書いてんの?」
「うん。……ふふ、面白い奴でしょ」
先生が目を細めて笑う。
ちっとも面白くない。
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