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『平台全部俺様。やばない?』
先生のところのバイトを終えて帰宅して。風呂上り、スマホを見たら佐久間からラインがきていた。
写真もついている。本屋の一画、三つぐらい並んだ書架の平台全てがずらーっと、佐久間めろんのライトノベルらしい。例のアニメのキャンペーンもかねて、手作りのポップや、アニメ会社のポスターも飾られていた。
『おめでとう』
それだけ返したら、ソッコーでまた通知がきた。
『やっぱ才能あるやつは違うわー\(^o^)/』
はいはい。
そうやって大口叩いてまわりに喧嘩売って、自分をおいこんでんだろ。もうわかってるよ。本当はビビりで卑屈で、自分に厳しすぎる奴だって。
『友達が新刊出るの早いって嬉しがってたよ』
『ジャンプコミックス並みに出してるからw ところで先生元気ー?』
『元気だよ 連絡取ってないの?』
『あの人ライン使いこなせてないから(´・ω・`)』
『あー』
『電話とかメールも苦手だし』
『あー』
『バイトいつまでだっけ?』
『はっきり決まってない でもたぶん今月中には終わる』
『先生なんか言ってたー?』
『とくになにも』
『えーどうすんの?』
『どうもしない』
だって、もともとは遠い存在の人だ。関わってんのが奇跡。
『でもこれからも先生のそばにいてくれるんでしょ』
『バイトやめたら会わないだろ』
ガーン、てスタンプ。俺だって先生とは一緒にいたいよ。あの空気を失いたくない。でもそのために、何か行動するのもなんか違うって思ってる。先生には仕事があるし、俺だって大学も将来のこともある。ずっとべったりってわけにはいかない。
『おれの知り合いのとこでバイトしない?』
佐久間から意外な提案がある。
『ライターみたいなやつ。パソコンだけあれば出来るからー』
それで先生と一緒に仕事しろってことか。ありがたいけど、断った。次のバイトはバイク屋にしようと見当をつけている。
『先生だって君と離れたくないって思ってるよ。前に言ってたもん』
『なんて?』
『君じゃなきゃだめみたいなこと。おれそれ聞いてちょージェラッた(#^ω^)』
ああ。いつぞやの呑みの夜のかな。だからあんな攻撃的だったのか。
『あそ。知らん』
またスタンプ。ムッキーってなってる可愛い犬だかタヌキだか。
ちゃんと話しなよ、と言われる。なんでそんなに気にかけるんだろう。大好きな先生のことだから?
『おれともだちとかいたことないからー 先生には楽しく過ごしてほしいー』
……………あっそ。
じゃあ俺がおまえの友達になるよ、と返して、ベッドに横になる。すぐ来ると思っていた返信はなかなか来なくて、しばらくしてありがとうのスタンプが届いた。
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