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【百人一首】忘れじの、君がため(83話)
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忘れじの 行く末までは 難ければ
今日を限りの 命ともがな
いつまでも忘れまい(心変わりしない) と仰るのを 遠い将来までずっと頼みにするというのは難しいものでしょうから
(その言葉をお聞きした幸せな)今日を限りに、私の命も尽きてしまえばいいのにと思います
作者の儀同三司母(ぎどうさんしのはは)は、道長と対立した伊周の母親です。
新婚ホヤホヤの愛をたっぷりと込めて詠まれた歌の様ですね。
決して、ネガティブな意味ばかりの歌ではないみたいです。
君がため 惜しからざりし命さえ
永くもがなと 思ひけるかな
貴方のためならば惜しくはなかったこの命さえも
(思いの叶った今は)少しでも永らえば良いのに と思う事です…
藤原義孝 作。
大層な美貌の持ち主だった様ですが、若くして病に倒れ亡くなったそうです。
歌の背景などはこの場では置いて、意味だけを追うと、二つの歌の矛盾ぶりがすごく面白いと思います。
今がとても幸せだから。
この愛が続いて欲しい。
二つの歌には「全く同じ願い」が込められているのにもかかわらず、そのために願う事は真逆なのですよね。
片や、今日限りの命なら良いのに。
片や、少しでも永らえば良いのに。
野川が、矛盾した思いに揺れている時、この二首はパッと頭に浮かびました。
野川の気持ちをツラツラと書き綴れば、ただでさえクドイ私の文章がさらにクドくなったでしょう。
こんな風に楽しみながら。
美しい百人一首の力を借りて、このお話を書き上げられた事をとても幸せに思います。
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