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-2-『そう遠くないまた逢う日まで』
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「なぁ、知ってるかー2人とも
俺、腕相撲で負けたことないんだぜー!!」ドヤッ
「すっごいー!まさちゃん!!
強いねー!!」
「あったりめーだろ!
はやのこと、いつでも俺が守ってやるからなー!」
「ふふっ...ありがとう、まさちゃん!!」
「...嘘ですね」
「え、そうなの!?」
「は、はぁ!?...お、お前だって!こないだテストで
1番取ったとか言ってたけど嘘だったじゃねーか!!」
「...それ、ただの教員の採点ミスでしたから
...真慧...恥ずかしい...」
「ッおま...その、すまし顔が腹立つんだよ!!」
「すごいー!けいちゃん頭いいね」
「まぁ...頭がいいのは否定しないですが...
それより、颯...
これから私の家に来ませんか?珍しいお菓子を
母が頂いたらしいので.....」
「え!いいの?
やったー、けいちゃん大好き!!」
「お、おい!俺は!?俺には!?」
「...どーせ、誘われなくても来るじゃないですか...」
「あたりめーじゃねーか!?
つか、誘えよちゃんと!」
「ほら、颯...荷物重いでしょう?
体に響きます...ほら、貸してください…」スッ...
「え、あ、ありがとう...」
「おい!はやも無視すんじゃねーよ!!」
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懐かしい記憶...
まだ、まさちゃんと仲良かった頃だ...
そういえば、けいちゃんって
誰だっけ...
確か、いつも3人一緒に居たはず...
会いたいな......
「ッ!?」バサッ
目が覚めると
コンクリートで出来た暗い部屋のベッドに横になっていた
あれ?俺、死んだんじゃ...
もしかして...ここが死後の世界!?
「ッ...いっ!」グッ
起き上がろうとするが、胸のあたりが少し傷んだ
よく見ると、服装も学生服ではなく
入院服に変わっていた...
「あら、起きたのかしら??」ガチャン
見知らぬ人が部屋に入ってきた
白衣を着てるって事は...医者...だろうか?
「ごめんなさいねー、少し心臓の音を聞くわよー」スッ
その人は僕の胸に聴診器を当てた
冷たい聴診器に少しだが体が震える
「うん、正常正常
でも起き上がるのはまだ危険だわ
しばらく安静ね」
「あ、の...
ここは...どこ...ですか...??」
小さな声だったが、何とか声を出せた
「あら...そうね...病院に近いものだと
思ってくれて構わないわ」
「...病院...
貴方が運んで治してくれたんですか?」
そう、僕は確か路地裏に居たはず...
しかも、絶命の状態で...
「...んー...治したのはあたしだけど〜...
運んでくれたのは...」
「??」
その人の目線を見ると...
「...ッひ!?」
部屋の隅に黒いフードを被り
服の所々に血が付着した男性が
小さく座っていた
その男性には見覚えがある...
「と、通り魔...さん??」
あの路地裏で出会った通り魔だった
「...まったく...久々に来たと思ったら…
口から血を吐いた人を背負ってやってくるんだもの...」
「...............行く場所...ここしか無い...」ボソッ
通り魔さんはあの時の声とは違い
暗く低い声で返事をした...
「...あ、あの...ありがとうございます...
運んで頂いて...」グッ
僕は頭を下げ、通り魔さんに礼の言葉を述べた
「.........」
「にしても、あんたが人助けをするだなんて...
明日槍でも降るんじゃないかしら」
「あ、おねえさんも...助けていただき...
ありがとうございました」グッ
僕はお医者さんにも礼を述べた
「あらやだッ!!お姉さんだなんて!!
もう〜!あなたってお世話が上手いのね!!」
「え?」
「あたしは、立派な男よ♡」
暗くて顔はよく見えなかったが...
まさか...この人...男!?
確かに、声は低いような...
「ご、ごめんなさい!て、てっきり女性の方だと...
思って...」
「気にしないで〜!
逆にお姉さんって呼んで貰って構わないー♡
確か...颯くん...だったわよね?」
「ど、どうして、僕の名前を?」
「学生手帳よ、学生手帳
服は血だらけだったからすぐクリーニングにだしたけど
血って落ちないからどうかしらー...」
この人...いったい何者なんだろう...
通り魔さんと仲良くしてるって事は...
ただのお医者さんではないたろうけど...
「あ、お家の方大丈夫?
心配してるんじゃないかしら...
かれこれ、2日はここに居たから...」
「...い、家は...大丈夫です...
.........誰も居ないので...」
痛いとこを突かれ少し目線を下に逸らしてしまった...
「...そう
まぁ、あと2日は安静ね...
じゃ、豪
面倒しっかり見るのよ?」
「..はぁ?なんで...俺が...」
「あたしは忙しいの!これから、お仕事なのよ」
「......」
「...もう...じゃーね♡颯くん」ガチャン
静寂...
あの人が出ていったことにより
かなり静かになってしまった...
「...あ、あの...」
弱気な僕なりに勇気を奮って言葉を出した
「ど、どうして...僕を殺さなかったんですか...?」
「ッ...」グッ
通り魔さんはこちらを睨みつけるように顔を上げた
フードと髪の毛で表情は分からなかったが...
何故か、睨んでいるように感じた
だ、駄目だったかな...?今の質問...
「ご、ごごめんなさい!変な事...聞いちゃって...ッ」
「............お前が......死のうとした......から...」
「.........え」
通り魔さんは小さな声で答えてくれた
「......今...まで...そんな奴...居なかったから...
いても、結局は...死にたくない...って最後に言う...
単純に......気になった......お前...の事...」
「.........ッ」
今まで...僕のことを気になったなんて言ってくれた人
なんて居なかった...
こんな事思っていいのか分からなかったけど
普通に嬉しいと感じてしまった...
「...そ、そうなんだ...」
少し反応には戸惑ったが返事はなんとか返せた
「.........なぁ、お前......名前......何...」
「...ッ!?な、名前?
名前は...あの人も言ってたけど
颯...佐伯 颯って言い...ます...」
なんだか恥ずかしくなり
所々語尾がおかしくなってしまった
「...と、通り魔さんは...ッ?」
「......豪......」
「ご、豪さん...」
「さん要らない」
「...豪...」
「うん......颯......」
通り魔さん...豪のフードの隙間からは
少し微笑んだ彼の表情が見えた...
優しい...顔だな...
「.....颯...はこんなとこ...居ない方が...いい...」
「...で、でも....2日は安静なんじゃ...」
「...俺がお前ん家まで運ぶ......
それに、俺なんかと...
2日も一緒に居ない方がいい...」グッ
「え、ちょっ!!」
豪は優しく俺を抱き抱え部屋を出ていく
「あ、歩けますよ!?/////
お、下ろしてくだ...ッ」
恥ずかしくて下ろしてくれとせがむが...
「......大丈夫...軽い...
家......何処...」
うぅッ......どうやら聞いてくれそうにない...
外へ出た...
辺りは暗く
夜だった事を気づかせる
「あ、あの...」
「.........ん」
「......あのお兄さん?お姉さん?は...
お医者さんなんですか?」
「...あぁ...ホドにいのことか...」
あのお医者さんはどうやらホドさんというらしい...
にしても、通り魔さn......
豪って...すっごい優しい人なのかもしれない...
なんだろう...あの時の殺気立った通り魔さんと全く別人で
のほほんとした感じだ...
到底、人なんか殺しそうにない...
「...あいつは...俺を助けた、優しい人...
でも、時々…気持ち悪い」
「...ホドさんに助けられた?」
「...俺、両親嫌いだった…
毎日、殴られた…蹴られた…」
「...あ...」
ふと、首元についた深い傷に気づいた
じゃあ...これも両親につけられたものなんだ...
「...だから、殺した
逃げてたところ、ホドにいに助けられた」
「...そうだったんですか...」
首だけでも痛々しい傷はいくつもある
きっと…考えられないほどの日々を送っていたのだろう
「...颯...この道真っ直ぐ...?」
「え、あ、うん...」
話しているうちに
あっという間に家の近くまで来ていた
...久しぶりだ...
人と話してこんなにも楽しいと感じるのは...
「...ついたぞ...」
「...ありがとう...豪
あ、ここで下ろしてください」
「だめ、体に悪い、絶対安静...」グッ...
「...え、ちょ、」ガチャ...
豪は家の扉を開けて
中まで俺を運んでくるたのだ
「...ふふ...」
「...?...颯...??」
「...あ、ごめんなさい...
豪って優しいなぁって思って...」
本当にこの人は優しい...
こんな弱い僕にここまでしてくれるなんて...
「...優しくない......俺は最低...」ボソッ
「...え?」
「...ベッドどこ?、そこに下ろす」
「あぁ、うん...うーんと...
そこが寝室です」
「...下ろすぞ...」グッ
「あ、ありがとう...ございます...」
豪は凄く優しく俺をベッドに下ろしてくれた
やっぱりこの人...本当に殺人鬼何だろうか...
「じゃあ、...帰る......」
「え、...」
豪はそういうと今にもでていってしまいそうだった
待って...俺...まだ...
「...ま、待って!!待って下さいッ!!」グッ
「...??」
俺は豪の着ている服の裾を掴む
迷惑なのは分かってる...
でも...
「...また......また会えますか...?」
また...
豪と話したい...
「...ッ...分からない...もしかしたら...
また...すぐに...会える......」
フードと髪でよく見えないが
豪が優しく微笑んだ...そんな気がした...
...それに安心したのかうとうとし始めた…
「.........ばいばい...颯...」
「...ばいばい...豪...」
俺は静かに眠りについた...
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────────
「...ふざけんなよ...颯...」
颯が居なくなってから約2日が経った
あいつのいない学校は...まぁ...周りの奴らからしたら
幸せなんだろうが...
「まさー、今日も一緒に帰らないのかー」
「...ああ...やる事があるんだ...わりぃな...」
俺は気が気じゃない...
あいつ...体弱ぇし...まさかどっかで倒れたんじゃ...
さらには通り魔もそこらを彷徨いているんだから...
颯...
はや...
「え〜...眞慧今日も帰らなぁいの〜?」
クラスの女子が話しかけてくる
そいつはいつも一緒に帰ってるし...
化粧はしているが比較的可愛いと思う...が...
「今日はぁ〜
あの汚いやつも居なくて気分がいいのにぃ」
...うぜぇ...
てめぇがはやの悪口言ってんじゃねーよ…
はやのこと悪く言っていいのは俺だけだ
「悪いけど俺忙しいから」
俺は腕に絡んできた女の腕を振りほどき
教室を出た...
てめぇより何百倍何千倍...はやの方が可愛いんだよ...
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「ふふふ〜ん♪...よし、机もピカピカね〜
あら?何かしら...このマフラー...」
「...取り敢えず...豪のじゃないことは確かね...
あー...もしかして...」
キィィ...「...ただいま...」
「あら、豪...おかえ...って...
すっごい...鉄臭ッ!?...
...颯くん送りに行ったんじゃなかったの?」
「.........」
「...はぁ...まったく...
だからどんどん服が赤黒くなるわけね...」
「......」
「あ、豪...明日颯くんにこれ届けてあげて」
「...颯に?...やだ...会ったりしたら...今度は...」
「...そのわりには嬉しそうな顔してるけど」
「...ッ......」
「...渡すだけなんだから大丈夫よ...行ってきなさい...
あ、でも...服は着替えなさいよ...
その服で行ったら1発でアウトだから...」
「...うん...」
受け取った白いマフラーからは颯の匂いが微かにした...
<補足説明>
・ホドについて
俗に言う裏医者で表には出回らない強い薬の売人をしている。口調は女性っぽいがちゃんとした男性。悲惨な過去があって訳あって自分を女性に見立ててる。ホドは偽名
また、実名が無い豪に豪と名付けたのもホドである。
・ホドと豪
裏道で血だらけでボロボロで倒れていた豪を保護したのがホド。初めは何回か殺されそうになるが段々と無くなっていき今じゃ一切無い。豪の殺人衝動による二重人格気質もホドは気づいている。メンタルケアを試みるも失敗に終わっている。
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