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連れてこられたのは…階段裏。
よく玖音と二人で学校で会うところ。
なんでまたここに…
そんなに沢山来てたわけでもないのに一つ一つの記憶が強すぎて、全部忘れるわけない…
体育館からも離れて、全校生徒がそこに集まってる最中だから一気に静かになる空間。
俺も玖音も黙ったままだからしーんと静まり返ってる。
(…なんだこれ…なんの時間?)
ただ壁際に追いやられただけで俯いたままの玖音。
俺より背が低いから顔覗き込むことも出来なくてそのまま時間だけが過ぎていく…
「…玖音…?」
耐えきれなくて名前を呼んでみたらぴくって反応してふわふわした前髪から少しだけ覗いた目が俺を捉えた。
思わず息を飲む。
初めてみた、不安そうに揺らぐ目。
どうしてそんな顔…
「…和くん」
「は、はい…っ」
「…ごめんね」
そう言いながらさっき振り払われて爪がかすった手を優しく握られた。
手の甲の傷を玖音の指がゆっくりなぞる。
「傷つけてごめん」
申し訳なさそうに俯いてやわやわと手を握られた。
あ…気にしてくれてたんだ…
それだけで緊張の糸がするすると解れていった。
よかった…嫌われたわけじゃなかった…
「…大丈夫だよ…、そんなに痛くないし…」
「それだけじゃない」
手を握る力が強くなって
「…それだけじゃなくて…」
また黙り込んでしまった。
…玖音…?
声をかけようとして口を開きかけた時に気づいた。
握った手が少し震えてること…
「…僕…」
今まで見たことない弱ってる姿に
なんだか守ってあげたくなって…
無意識に玖音の頭を引き寄せて抱きしめてた。
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