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ちゃんと自分の思ってること伝えた。
きっと一人だと話に行く勇気もなくてずっともやもやしたままだったと思う。
きっかけをくれたのは、守ってくれたのは、安心させてくれたのは全部玖音。
好きで堪らなくて今すぐ伝えたくなって玖音のマンションまで走った。
「暑…」
最近走ってばっかだな…なんてマフラーを緩めながら思った。
ドアノブに手をかけると俺が来るのを見越してか鍵はかかってなくて簡単に開いて進んだらちょうど着替えてる玖音がこっちを見て笑った。
「おかえり」
「…っ、」
「わ、っと…!」
そんな笑顔に胸がぎゅってなってその場に押し倒す勢いで抱きついた。
抱きとめる準備をしてなかった玖音が男子高校生を受け止めきれるわけもなくその場に倒れ込んで尻餅をつく。
ドタドタと音が響いて上半身を少し上げて俺を見下ろした。
「…もうちょっと優しく抱きついてよ」
苦笑いを浮かべながら頭を撫でられてもっと溢れる。
…好き、大好き。
緩いパーカーの首元を引いて自分からキスをした。
予想外だったみたいで触れた瞬間びくっと肩が跳ねて驚いていたけどすぐに微笑んで後ろ首を支えられて深いキスに身を任せた。
絡み合う舌が心地よくて夢中で繰り返す。
言葉じゃ足りない、もっと特別な人だと伝えたい。全部抱き合うので伝わればいい。
ちう、と下唇を吸われて声が漏れる。
「ン…ぅっ」
「どうしたの」
子供をあやすみたいな優しい目に俺が映っていた。
こうされると全部素直に零れてしまうからずるい。
「…玖音が好きって思っただけ」
自分でも恥ずかしい事言ってるなって思ったけど今は恥らいとかそんなもの構っていられないほど気持ちが溢れて伝えたくて言葉が自然に漏れた。
「…ありがとう…大好き…」
「ん、知ってたよ」
言葉は自信ありげなのにどこか安心したように聞こえた。
肩を持って身体の向きを変えられて足の間に座らされて後ろからぎゅっと抱きしめられて肩に頭が乗る。
こうして抱きしめられるのも慣れて居心地がよかった。
「仕事行くまでこうしててもいい?…セックスじゃなくてこうやってたい」
身体だけじゃない、そばにいられるだけで満たされる関係って幸せだなと思った。
胸元に回ってる腕に顔を埋めて頬が緩む。
「…うん、俺も」
そう応えれば吐息が耳を掠めて擽ったくて身を捩った。
温かくてふわふわして幸せな気持ちに包まれる。
愛おしい匂いに擦り寄って言葉もなくただそうして抱き合っていた。
「レオンさん〜おかわりくださいー!」
「ありがとうございます」
…結局家出る時間になっても離れたくないからって連れて行かれてカウンターに座らされた。
ここ来るのも慣れちゃったな…
「…ねえなんか今日レオンさんめちゃくちゃ上機嫌じゃない?」
「そう見えますか?」
「うん、なんかあったんだ」
「はい、凄くいい事がありました」
「えー何それ!気になる〜!」
「…だ、そうだけど何したのかなー?和くん」
「……やめてください…」
端の方でライトさんがにやにやしながら冷やかしてくるからお酒飲んでるわけじゃないのに顔が熱くなる。
(…露骨に嬉しそうにすんなよバカ…)
お客さんの相手をしてる玖音を見つめてたら目が合って伏し目がちに笑われてかっこよくてきゅって締め付けられる。
あの頃の恋人を懐かしく思ったり傷ついて苦しくなったりもしたけど今回のことでやっと過去から抜け出せて本当の意味で玖音と向き合うことが出来た気がした。
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