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透琉に連れられ、2人が着いたのは、7階建てのマンション。どうやら下がレストランになっているみたいだ。扉には臨時休業の看板がかかっていたが、透琉は難なく開けると、店へと入っていく。
「いいのかよ」
「俺、この上に住んでるし、昔からここに来てっからもう1つの家みたいな感じなんだよ」
透琉に続いて中に入った2人は、ほぉと息を吐く。
中は、木製の家具で纏められており、所々年季を感じつつも手入れがしっかりと行き渡っている。テーブル席は全部で5卓。それぞれ色の違うテーブルクロスがかかっており、色味が少ない店舗を晴れやかにしていた。椅子についているクッションは柔らかそうで、テーブルクロスと同じ色をしている。
カウンター席からはキッチンの中を見れるようになっており、磨き込まれたキッチン用具がお客様をおもてなしするかのように、窓から入った日に照らされ、光り輝いていた。
「カウンター席に座っててくれ。今作る」
「お前が作るのか?」
「おやっさんオーストラリア行ってていねぇからな」
「オーストラリア? 旅行かなにかですか?」
「食材調達。ワニ捕りに行った」
・・・
・・
・
「「ワニ!?」」
異口同音で素っ頓狂な声を上げる2人に、透琉はキッチンに入りながら苦笑する。
「日本にも売ってんだから、それ使えって言ったんだけど、聞かなくてな。あ、捕獲したっていうメールが今日来たから、あと数日で帰ってくると思うぜ。一緒に写真送られてきたから、見せてやるよ」
言いながら、透琉が見せてくれたスマホの画面には、現地の人達と口を縄で縛られたワニ。それとスキンヘッドの40代位の男性が写っていた。
この男性が、透琉の言うおやっさんなのだろう。
「すげぇ……」
「ワニなんて動物園でしか見たことないです」
「お客さんから養殖じゃないワニを食べたいって言われてさ。なら現地で採ってくるって、狩りに行っちまったんだよ。おやっさん、お客さんに食べたいって言われると、例え秘境の食材でも獲り行っちまうから」
「すごいですねおやっさん」
「俺も同行したことあるぜ」
「何捕りに行ったんだ?」
「同じオーストラリアなら、カンガルーだな」
「カンガルー!?」
「おやっさん、変にコネあるからな……。現地に行けば大体の食材は手に入る」
透琉が遠い目をしている所を見ると、本当に色々な所へおやっさんは行っているのだろう。今地球何周目と言われても驚かない気がする。
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