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次月side
よっ!俺は伺史次月!紅薔薇学園2年E組!
『し』が3回も続いて呼びづらくてごめんな(笑)
気軽に『次月』って呼んでな♪
俺はさっき、少し大きな決断をしたんだ。
それは、去年体育が同じでちょっとだけ絡んでいた涼乃に誘われて、この学校のスクールアイドルをやるということ。
俺には元々ダンス部があるし、本当は断ろうと思ってたんだけど…
涼乃から感じたんだ。「こいつは一発起こすな」というオーラが。
そのオーラに押されたのもあって、俺はスクールアイドルをやることになった。
…のはいいが、すっかりダンス部の事を考えるのを忘れてしまった。
あぁ。本当にどうしよう。
今更涼乃に断る?
ーいや、人を必要としていた彼らにしかも、一度はOKした頼みを再び断るなんてできない。
それじゃあ、ダンス部は?
ー…
辞める?
ー無理。
でもそれじゃあ、どうやって両立するっての
ーあーそれは…それは…
ねーぇ
ー…
ねぇちょっとしいくん?聞いてる?
ー…
もうすぐ下校時間だって!
ー…
「しいくんッ!」
「うおっ!?」
急に耳元で大声が聞こえて、俺の意識はようやく自問自答ゾーンから帰還した。
ボーッとしてたわ。やべぇやべぇ。
俺は半ばふわふわしながら、大声の主を見下ろす。
右下にいるのは、俺の耳元に顔を近づけるため必死に背伸びをしている俺の幼馴染…
「わりい。ボーッとしてた…じゃ帰るか。沫」
「ホント!戻ってこないかと思っちゃったよw」
そう言ってふわりと笑う沫。本当に可愛らしい。
本来は男に使う表現ではないだろう。
だが、見れば分かる。沫に関しては本当に可愛らしいという表現が一番似合う。
文字でしか伝えられないのが勿体ないぐらいにな。
背は160も無い程度で、くりくりと丸い目を常に上目遣いで見上げられてみろ、可愛くない訳がない。
俺はそんな沫の事が恋愛感情として好きだ。
いつからかは分からない。
幼稚園で仲良くなった頃かもしれないし、身長に大きく差ができた中学生の頃かもしれない。
いつの間にか好きで、いつの間にか自覚していた。
でも俺らは男同士。しかも相手は幼馴染だ。
幼馴染だから、と俺と沫は周りとは違う少し特別な関係だ。
気紛れでお互いの家に泊まりに行くことは今でもよくあるし、その時は毎回同じベッドの上で寝ている。
そして何より…
「じゃあねしいくん。気を付けてね~」
「おう。沫また明日な」
帰り道の途中、最初に沫の家に着き、沫と別れるときに『その時』は毎回訪れる。
目の前には、ドアに続く階段を一段上り、目線が同じの沫。
目を閉じて沫は『その時』をそっと待っている。
俺はそんな沫に躊躇なく軽くキスをひとつ落とす。
「…んぅ。ばいばーい(*´ω`*)ノシ」
「あぁ。また明日な」
そう、幼稚園の頃から俺と沫は事あるごとにキスまでする関係にあるのだ。
頑張ってねのキス、お休みのキス、お疲れ様のキス
もうそれらは既に生活の一部となっていて、俺らの間では何の違和感もない行為だ。
俺はこの時だけは、純粋な沫が愚かに見える。
俺はこれだけ辛いのにも関わらず、沫は何も知らずに、何の感情もなく俺と口付けを交わしているのだ。
終わらせたい。このまま曖昧な関係を続けるのは沫にとっては良くても、俺には良くない。
さあ、どうする。ダンス部も、スクールアイドルも…沫の事も。
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