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次の日、取り敢えず俺は部長に相談することにした。
あぁ…話しかけづらい。
まだ「スクールアイドルやりたいんですけどいいですか?」だったらまだしも、「スクールアイドルやることになったんですけど、大丈夫ですか?」なのがとても気まずい。
怒られるよなぁ…厳しいんもんな…
大会は出れなくてもいいけど、活動しづらい雰囲気になるのは嫌だ。
よし。腹をくくれ俺!部長に相談するんだ!
「部長、ちょっといいですか?」
「おお。どしたよ」
振り返る部長は相変わらず美人だ。
切れ長の目に、通った鼻筋。
女性のようにしなやかな反面、どこか男らしさも兼ね備えている魅力的な人だ。
何故俺の周りには容姿の整った人間ばかりなのだろうか。
俺のビジュアルがそんなに良くないから、余計に悲しくなってくる。
もういっそ、彼がスクールアイドルをやるべきなのでは?
そんな高嶺の花のような彼に俺は毎回怖じ気付いてしまう。
俺は勇気を出してスクールアイドルの事について打ち明けた。
「ああ。いいんじゃない?」
「…へぇ?」
彼の出した答えはあまりにも単純で、俺は思わず間抜けな声を上げてしまった。
てっきり、あの厳格な部長の事だから、それなりに厳しい意見が飛ぶと思いきや。
むしろ肯定的な意見が帰って来てしまった。
本当にその凛とした美しい顔の裏にはどんな表情を隠しているのか分かりやしない。
「その代わり」
急に付け足しの語句である『その代わり』が飛んできて、俺は再び冷や汗をかきはじめた。
退部か?休部か?ペナルティーか?
「ちゃんとしっかりダンス部にも顔を出してね。あと…」
一つ目の言葉にほっと胸を撫で下ろす暇もなく、また付け足しの語句が来て更に心臓に負担がかかる。
「スクールアイドル、ダンスちゃんとキメてね。次月が下手なことしたら、ダンス部に響くんだから」
これ以上彼の付け足しの語句が来ないことを確認し、やっと俺は胸を撫で下ろす事ができあのだった。
「はいッ!ありがとうございます!」
やるからには、全力でやらなくちゃな。
「しいくん、今日はご機嫌そうだけど、何かあったの?」
「お!流石俺の幼馴染♪」
今日もまた、沫と一緒に帰路につく。
沫は俺の機嫌がいいのをすぐに察したが、これは決して俺が分りやすい訳ではない。
家が同じ番地にあって、幼稚の頃から家族ぐるみで仲の良かった沫だからこそなのだ。
幼馴染の特権?というやつだ。
「いやー。俺さスクールアイドルやることになったんだよな」
「え!?スクールアイドルって、学校内でやるあれ?それをしいくんが?」
「そーいうことだ」
「すごい!すごいよしいくん!今の内にサイン貰っちゃおうかなぁ(*´ω`*)」
スクールアイドルと聞いて、普段大人しい沫が珍しくテンションを上げてはしゃいでいる。
そういう沫の所も愛しく感じる。
本当に俺、沫の事が好きなんだな。
これに便乗して、沫もスクールアイドルやるって言い出さないかなぁ。
いや、あいつ体弱いし、極度の人見知りだしな。
しかもあいつは…
残念だが、沫をスクールアイドルには誘えないな。
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