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12本の薔薇
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涼乃side
「1234!1234!涼乃ちょっと遅いぞ!」
「おっけ!」
紅薔薇学園2-A花城涼乃、中庭で5月初旬の爽やかな風に吹かれながら、メンバーの悠木君に作ってもらった曲に合わせて、次月の考えた振り付けを覚えています!
つい昨日の話なんだけど、俺と朱琉、次月に悠木君で紅薔薇学園スクールアイドル『2Rg』というアイドルグループを結成したんだ!
朱琉はあんなにも無理だーって言ってたけど、やっぱできちゃったじゃん!
このままメンバー集めて、曲完成させて、どこかでお披露目して…
グループ結成してもう達成感味わっちゃってたけど、まだやる事がが沢山あってワクワクしてきた!
ダンスはなかなか難しいし、悠木君の宣言通り、歌のレッスンは先週のよりも、もっと厳しくなっていたけど、2Rgだったら乗り越えていける…よな?
いや!絶対多分多分絶対乗り越えていける!
「じゃあ5分休憩!」
「朱琉バッテリー切れ早すぎwゼェゼェ…」
「お前も…ゼェ…ゼェゼェ言ってるじゃ…ハァねぇかよ…」
「3人とも飲み込みが早くていいな!これなら完成も間近だな!」
「ホント?っしゃ!」
さてと。スポドリ~っと。
スポドリは確か邪魔にならないように、中庭の片隅にあるベンチに置いておいたはず。
…よし!盗まれてない!
ベンチにドカッと座り、スポドリを勢いよく喉に流し込む。
それは渇ききった喉に染み渡り、汗まみれの身体全体に潤いを与えた。
「んっくくっ…ぷはー!うまー!…ん?」
体が潤いで満たされる感覚に浸っていると、ふと誰かの視線を感じた。
こういう感覚は鈍いという自覚があるほど、俺は周りをあまり見ない傾向にあるのだが、間違いなくこれは視線だ。
視線を受け取った先に目を向ける。
そこは中庭から裏庭へと続く小道。
裏庭から飛ばはれた、遅咲きの桜の花びらが垣間見える。
その桜の花びらの中から現れるように、小道の真ん中に人が立っていた。
ブレザーと制服のズボンで辛うじてここの生徒だと確認できたが、相手はなかなか怪しい人物だ。
ブレザーの中に黒いフード付きパーカーを着用していて、頭どころか顔まで真っ黒なフードが覆っている。
ここまで奇抜な格好をしている生徒は今まで見たことがない。
ということは1年?…いや、1年の初めから目立つ格好をするにはだいぶ勇気が必要だ。
2,3年だとしても、すれ違っていたら確実に2度見している筈だ。
…となると、単純に俺が今まで見逃していただけなのか、或いは本当に勇気がある1年なのか。
ただの通行人かもしれない。だけど、俺は彼から目を離すことができなかった。
周りと変わらない制服に、フードを目深に被っていて顔すら見えない。
彼が俺を注目させているのは、格好だけではないのかもしれない。
これは所謂『オーラ』とでも呼ばれているものなのであろうか。
遠くにいるため背格好もよく分からないのに、自然と目が彼に焦点を当ててしまう。
暫く彼を眺めていると、彼は何故かコソコソとした動きで物陰に隠れ始め、そこからひょっこりと此方の様子を伺っていた。
俺らの活動、見てて気になったのかな?なーんて。
じきにメンバー募集のポスター作るし、活動したかったら来るよな…?
「おーい!涼乃ぉ!休憩終わったぞー!」
「おっけー!今行くから!」
この後の練習の最中、俺はまだ彼の事が頭にこびりついて離れなかった。
あの子、気になるなぁ…
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