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???side
高校生活が始まって1ヶ月。
俺は一度は失った『夢』を再び持ってしまった。
並木道の向こう側にふと見えた。
キラキラした何か。
それは、幼い頃から憧れていたものにそっくりで。
俺は興味本意で近寄った。
近づけば近づくほどもっとキラキラして。
並木道が終わるギリギリまで近づいて…
「12341234おっけ!じゃあ次の振り付けな!」
「…!」
目の前のキラキラの正体は、覚束ない足で踊る四人の生徒。
これって本当に…でも、部活動紹介にはなかったはず。
嗚呼もっと近づきたい!できることなら俺もあの中で…
「わッ!」
踊っている内の一人がターンに失敗し、盛大に転んでしまった。
響き渡る簡素な曲と運動靴が床を滑る音
周りには俺と同じような背格好の男が十数人
そして目の前には椅子に座り、こちらの様子をまじまじと見ている大人たち
周りの皆が同じ動きをして、俺も負けじと動き続ける
キメのターンを決めようとしたとき、俺の脚が突然ふらついた
俺はそこで踏みとどまることはできず、重力に引かれるがままその場に倒れた
冷たい床に倒れてもなお、周りの皆はずっと踊り続けていた
更に近づいた足音の中で俺は動けないまま、静かに絶望に浸っていた…
俺には無謀すぎた
俺にはこの『夢』を追う資格なんてない
だったら、今から閉じ込めてしまおう、忘れてしまおう
俺は…アイドルになんてなれっこないんだ…
過去の忌まわしい記憶がフラッシュバックし、俺は一瞬よろめいた。
そう…だよな。俺があのキラキラした輝きに溶け込める訳がない。
そう思っていても、俺は踊っている四人に羨望の眼差しを向けることを止められなかった。
あの時はアイドルになる夢を、しっかりと閉じ込め鍵を掛けたつもりだった。
でも、本当はまだ諦めきれていなくて。
ふいに後ろから現れた桜吹雪が、俺の頭を覆っているパーカーのフードを押さえつけた。
…危ない危ない。風の吹く方向が逆だったらフードは取れてしまっていたであろう。
外で顔はできるだけ隠さなければいけないのに。
…そうだ。アイドルになる夢を諦めた2年前にはなかった『足枷』が今の俺にはあるじゃないか。
どっちにしろ、俺はアイドルになる事は無理だったようだ。
それでもなお、俺は並木道の隅で憧れの存在をただひたすら眺めていた。
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設定を見ていただければ、今回は誰視点なのかは一目瞭然ですね。
一応未登場のキャラなので、話は敢えての1.5話です。かっこつけたかっただけです
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