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3難儀な距離
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「おはようございます」
「昂生くんおっはよー、はやいね」
「いえ、そんなことは…あれ、雪村さんは?」
いつも一番に来ているはずの雪村さんがいない。
それもそうか。昨日あんなに飲んでいたのだから、無理もない。
「あー、何か今日遅いね?いつもなら俺より早いのに…あ!吉川ちゃーん、おはようっ」
吉川さんを見るなり、高槻さんは、そばに駆け寄って挨拶をしに行った。
昨日はお酒で酔っていたのを理由にズケズケと色々聞き過ぎたことを反省し、コンビニで滋養強壮ドリンクを買いに行くことにした。
「おはよう」
「あ、雪村さんはよー!今日は遅いね、どうしたのー?」
「…ちょっと、な。そんなことより、会議の方はどうなった?」
高槻さんと雪村さんが話している今がチャンス。
雪村さんの机にそっと滋養強壮ドリンクを置いて、受け付けの席に何事もなかったかのように座る。
「三橋、何だコレは?」
えええええ!?
何でバレてんの、この人何なの。
「あ、いや…お疲れのようでしたので。差出がましいとは思いますが、どうぞ…」
「…?」
何この微妙な間は。
昨日のことを知っているのがバレたら、そりゃあマズイことになる。
何せ俺のアレだってバレたら困るのに。
でも、あんだけ酔ってれば忘れてる、よね?
しかも、あれは俺であって俺でない。
結構作ってるし、大丈夫かな。
「ほう、今までの失敗をコレで蔑ろにしたいのか?」
「そ、そんなんじゃないです!」
思い切り声を荒げてしまった。
人の親切をここまで踏みにじるような人は初めてだ。
やっぱり、昨日の今日で好感度は上がらず。
こんな人なんて大嫌いだ。
同情した俺がバカだった。
俺は書類を持ってコピー機のある部屋に閉じこもった。
もちろん、ここでちゃんと仕事するつもりだけど。
受け付けのことは…他の人がやってくれるかな、なんて…
「ちょっと、雪村さーん。昂生くん行っちゃったじゃん?あいつ、朝早くから来てコンビニでソレ買って来てくれたんだよ?」
「は?何でそんな必要が…というか、何故俺に」
「いつも一番に来る先輩が遅いから、疲れてんのかなって後輩なりに配慮したんでしょ?アンタはさ、皮肉に物事を取りすぎなんだよ…」
「…」
「はい、あの部屋の鍵。…分かったんなら謝りに行ってくださいよ、先輩」
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