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家族
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合鍵をにぎりしめたまま電車に乗る。
空いている時間帯ということもあり、乗客は疎らで僕は、ほかの乗客から少し離れた空いている端の席に座る。
「お顔…いたいの?」
俯いて座っていると幼稚園児くらいの女の子が目の前に立っており、声をかけられた。大きな目で物珍しそうに僕の顔を見ている。
「ふふ、いたくないよ」
…可愛いなあ
「はやくなおるといいね」
「うん、ありがとう」
僕がお礼を言うと女の子は笑いながら僕の隣に座る。
僕が驚いて「誰かと一緒じゃないの?」と声を掛けると「おかあさん!」と元気よく向かいの席を指差す。
その声に気が付いた、女の子のお母さんがスマホをいじっていた手を止め、僕の方へと視線をむけた。
「おかあさん!あのねっ、」
女の子が僕の隣で母親に話しかける。母親の表情があまり良くない。
…僕はこの空気を良く知っている。
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