アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
生徒会室にて-3
-
「んー!いい匂い!」
「蓮、俺より先に食べるとはいい度胸だ…」
「まだ食べてないよ!?奏のついでに貰ってるのに先に食べるわけ無いじゃん!」
本気ではなくワイワイとやっている奏様と連様に小さく笑いを溢した。
「さぁ喧嘩をなさらずに早くお食べになって下さい。夏様方はもう食べていますよ?」
「「あ!」」
競うように食べ始めた二人だが、楽しそうで何よりだ。
「澪、お前もここでみんなと食べろ。遠慮するな」
「いえ、従者である私が皆様とご一緒するのはいけないことですので」
「まったく……これだから頑固は。じゃあ命令だ、ここで皆と食べろ」
従者は本来、主の食事の場にいるのだが一緒に食事をするわけではない。側に立ち、飲み物を注いだりするのが役目だ。
「………かしこまりました」
奏様方は私を友人として見てくれているが、あくまで私は執事という従者。
決して対等な存在ではないのだ。
これ程自分自身で一線を引いているのには、あえてそうする事で溢れそうな想いを塞き止めるためでもある。
『近づけば殺されるとでも言うのか』
いつだったか、いつも線引きをしている私に奏様がそういったことがあった。
なんと答えたか。
私はこう応えた。
『どう有っても私には貴方様だけですよ』
自分自身で、邪な想いをバラしてしまわないように線を引く。
バレれば、気持ち悪いと言われるか解雇されるかの二択だから。
だからその応えに寂しそうな奏様に気づかないふりをした。
「澪、いつもありがとうな。澪より美味いご飯はどこにもない」
ふと、隣の奏様が褒めてくれた。
不意打ちな言葉に思わず振り向くと側にいたからかどアップの笑顔に一気に顔に熱が集まる。
見られたくなくて、顔を背けてしまった。
「あ、ありがとうございます。……でも私よりも美味しい人はたくさんいると思います!」
「澪ちゃん顔真っ赤ー!」
「珍しい、いつも無表情なのに」
「りんご、さん」
「あの無表情崩すなんて奏やるぅー!」
「かわいいだろ?ウチの澪は」
一度顔を崩してしまうとなかなか戻らないのだ!
「ち、違います!これは少し暑かっただけで!」
「はいはい、澪ちゃんは寒がりだったよね?」
「も、もう!」
これ以上見られたくなくて、食べ終えた皿を回収してキッチンに逃げ込んだ。
「ふぅ、熱い……………ふふっ」
直球な褒め言葉に恥ずかしく思いながらも、嬉しさに笑みが溢れる。
その後夕食作り頑張ろうと張り切ったのは言うまでもない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 523