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ありがた迷惑-3
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「蓮!!澪に近寄りすぎだ!!友達なんだからもっと離れなきゃいけないんだぞ!!!!」
意味不明。
まさにその言葉がピッタリだった。
その言葉を聞いて蓮様は私を背に、毛玉へ向き合う。
「別に良いと思うけど?だって俺とれいちゃんは友達だし、君よりずっとお互いのこと知ってるよ」
「俺の方が澪のこと知ってるぞ!!」
蓮様は何よりも仲間や友達といった、自分の中で『大切』と分類される人にのことを何よりも大事にしている。
だからなのか、先程毛玉を抑えていた人が蓮様の親衛隊員の一人で突き飛ばされたのをしっかり見ていた蓮様は笑いながら、チクチクと棘のある言葉で話しかけた。
「今日あったばかりの君に何がわかるの?それに声大きいよ、無駄にね」
「蓮だって俺と澪の仲邪魔するなよ!友達だろ!!澪は俺の友達だけど蓮の友達じゃないんだからな!」
「なにそれ〜?まるで小さい子供だよ。本当に仕方無いね」
「煩い煩い煩い!!もういい!!!澪他所行こう!」
幼稚園児のように喚き、地団駄を踏む姿はお世辞にも高校生とは思えない。
「いえ、私は生徒会室に戻るので。あなたはこれから授業でしょう、転校初日でサボるおつもりですか?私は副会長ですから、あなたにはちゃんと授業を受けてほしいのです」
蓮様を押し退け、私の手を掴もうとしてきたのでさり気無く、掴まれないように持っていた教科書と書類を両手で抱える。
「…澪のお願いなら聞く!!って言うがなんで澪は授業受けないんだ!?」
「れいちゃん、体調悪そうだね。だからお休みするんだよね?…そうそう、こっちに早く来たのって奏から伝言があって……『ティータイムはガトーショコラが食いたい、苺のジャム付けて』だそうです」
「そうですね、少し頭が痛いので休みます。ガトーショコラですね、蓮様も終わりましたら召し上がりますか?」
「うん、しろちゃんと一緒に食べるから残しといて!俺はクリームがいい」
「なぁ!!澪!頭 痛いんだったら保健室連れてく!」
「わかりました、では準備しておきますね。……大丈夫です、あなたは授業を受けてください。では、これで……あぁ、皆さん、お茶会は3日以内にやるので、そう隊長さんに伝えておいてくれますか?」
「「「はーい!!」」」
まだぎゃあぎゃあ喚く毛玉をシャットアウトして、出口に向かう。
蓮様はいつの間にか席についていたし、毛玉は近づこうとするが皆さんに足をかけられたりして邪魔されていた。
「てめぇ等、黙りやがれ!!」
2コマ連続で授業を受け持つ藤崎先生は、毛玉から避難して職員室に逃げていたのだろう、入れ違いで戻ってきた。
入るなり、喚く毛玉に向かって出席簿を投げていたがあれは本当にストレスが溜まるので見なかったことにしよう。
我が学園の優秀な教師がノイローゼなどになっては一大事だ。
ある程度は見逃そう……。
「さて、チョコレートを買いに行きますかね」
教室を出ても尚、響く毛玉の声が遠くなっていく。
奏様がスイーツをご所望だ、急がねば。
授業開始のベルを聞きながら百貨店へ向かった。
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