アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
引き金-1
-
「……澪、おかわり」
「まだありますから、そんなに急いで召し上がらなくても大丈夫ですよ?」
一時間程で奏様が授業を終え戻ってきた。
授業だけにしては遅かったが、食堂に行ったときにあんな事があったので料理長に渡し損ねていた書類を届けてきたのだと言う。
そんな事ぐらい私がやるのに……。
奏様はどうも最近、私を使ってくれない。
今までは見向きもしなかったのに、洗濯をしようとしたり、皿洗いに手を出してみたり………まぁ、奏様は武道に関してはすごく強いのだが、文化面ではからっきしで(特に芸術関係は嫌いと言っていた)、言うなれば……物凄く不器用なのだ。
だから、洗濯は洗剤を入れすぎて部屋を泡だらけにし、皿は力加減が出来ずかなりの数が割れてしまった。
……少し面白かったが。
prrrr…
生徒会室の固定電話が鳴り、近くにいた秋様がそれをとった。
「……秋だ」
生徒会室の固定電話にかけてくるのは風紀か教師だけなので、食堂での件も含めると風紀委員が妥当だろう。
それが的中したのか、秋様はこちらを振り向いて音声をスピーカーにした。
『風紀副委員長の小野です。あの毛だ…転校生に生徒会への過剰接触により謹慎処分が言い渡されました。食堂に来るまでに2つ学校の備品を壊しているので、それも含め期間は2週間です。』
……毛玉と言いかけた。
「ま、十分なんじゃない?裏口入学に関して退学にすんのは2週間あれば出来るでしょ、奏が」
『え?!裏口入学なんですか?この毛玉』
いいのか、毛玉で。
「……俺だけか。ああ、まだ証拠が確かではないからその裏付けをとってからだな。そのことも含め今からあの代理に謹慎処分になったことを報告してくる。書類を取りに行かせる、蓮に」
「……俺が?……何で!……すみません」
仕事を増やされたことに恨みを持ったのか直ぐ様仕返しに出る。
奏様の睨みは私でも怖い。
『わかりました。書類は一式揃えておくので、会長様と理事長代理のサインで正式に受理されます。後は宜しくお願い致します。では、失礼します。』
電話が切られ、全員がため息をついた。
「澪、蓮が書類を取ってきたらこのまま仕事切り上げて帰るぞ」
「はい、わかりました」
「奏、俺らも行く」
「なぜだ?」
「一応、護衛する。初めて会った時から敵意すごかったから」
「夏の言う通りだ。あの毛玉は代理の甥で、裏口入学させるくらいなんだ、今回の報告に何をしでかすか分からん」
秋様と夏様もあの代理にはいい思いをしなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 523