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初めての-1
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………やってしまった。
昨日、代理に朱目を使われ気を失ったあとの記憶がない。
奏様に抱えられていたという記憶はあるので、触れてもらえて嬉しい3割、申し訳無い8割。
どうやって部屋に来たのだろうか?
服は昨日のままだが、恐らく苦しくない様に緩めてくれたのか前は全開だった。
朝起きるととっくに登校時間は過ぎていて、奏様も部屋には居らず、テーブルには
『熱がある、しっかり休め。今日は早く戻る 奏』
というメモがあって、ゴミ箱には食堂から取り寄せたであろう食事の空箱があった。
「またこんなに偏ったもの食べたんですね……」
ステーキが2箱、カレーとハンバーグが1箱、ハイカロリーゼリー飲料がいっぱい。
あとどれもブロッコリーのグラッセは残されている。
αは元々大食いだが奏は+αだからか、更に大食いだ。
空箱のどれも中途半端にまるで美味しくなかったとでも言うように残っていて、ハイカロリーゼリー飲料はいちご味だけを飲んでいた。
私が料理をしないと奏様はゼリー飲料などの効率よくカロリーを摂取できるものしか食べなくなる。
野菜もちゃんと食べてほしいし、頭も使うのだから糖分も摂ってほしい。
私が倒れなければこんな事にはならなかっただろうに。
「すみません………」
テーブルにはメモの他に私にだろうお粥と、栄養ドリンクがあった。
「……本当に、優しい人」
従者は扱き使われるもの、そう言ったのは奏様のお祖父様。
あの人はΩ嫌いで、まだ寮に入る前の初等部の終わりまで散々なじられてきた。
嫌な思い出だが、いつも奏様が側にいてくれた。
ストーカー被害にあったときは暫く習い事も休んでくれたし、私の大好きなフルーツも毎月必ず貰ってきてくれる。
………こんなにも愛しい。
もし、従者じゃなければ。
もし、出来損ないのΩじゃなければ。
もし、私がαだったなら。
もっと、側にいられたのだろうか。
「……はぁ………」
熱のある体は思うように動かない。
奏様に迷惑をかけた謝罪文とお礼のメールをしてから着替え解熱剤をのんだ。
暫くすれば動けるようになるだろうから、昨日の希望だった肉じゃがを作ろう。
軽く部屋の掃除をする。
シンクに置かれたコップやナイフ、フォークを洗い、奏様が脱ぎ捨てた服を拾う。
「…んっ……」
いつもより濃く感じる奏様の匂い。
なんか、レモンの様な匂いじゃなくて、もっと甘い何か。
クラリと目眩がする。
どうやら本格的に熱が上がってきたようだ。
洗濯物をカゴに突っ込み急いでベッドに戻った。
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