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初めての-9
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その時、ガリッ…と鈍い音がした。
直ぐにボタボタと垂れる血に、奏様が自らの腕を咬んだのだと分かる。
見れば、犬歯が深々と刺さりどんどん血が流れている。
「……ひっ……ぁ……」
止まる気配を見せない流れている血に、恐怖で身体が震えてくる。
「……すまん、澪。……怖かったな……」
奏様が血の付いていない手で、壊れ物を扱う様に頭を撫でられる。
しかしそれも直ぐに離して、またあの紙袋から3本目の注射器を取り出した。
「……3本は、ヤバイだろうな…」
ボソッと何かを呟いたようだが、聞こえなかった。
3本目の注射を打つと、だんだんと薄くなる奏様のフェロモンに不安になる。
奏様は制服の袖で血のついた口を拭うと、そのまま噛んで引き千切った。
千切った袖をまた血が流れている腕に巻き付け、止血をする。
「かなで、さま………?」
普段の奏様のレモンの様な香りに戻ったかと思うと完全に消えてしまったフェロモンに、寂しさと不安が増す。
おずおずと服を引っ張ると、上を向いていた奏様がゆっくりこちらを向いた。
「澪、疲れただろう……今日は我慢してくれ」
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