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焦り-2 Side奏
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いつも澪がカードと財布をおいている場所にそれらが無かったから、きっと買い物にでも行ったのだろうとリビングに戻ると、机の上にはラップがかけられた朝食と思われるものがあった。
澪がラップを使うなんて珍しいと側にある大皿に目を移すと、紙が折り畳まれて置いてあるのに気づく。
温めて食べろと言うなら、俺はレンジ?の使い方を知らないと思いながら紙を開くとそこには、俺を驚かせるのは十分過ぎることが書かれていた。
『今までお世話になりました。どうか、幸せになってくださいませ』
そう、綺麗な字で書かれていた。
足元が崩れていく。
走馬灯のように澪と過ごした苦しくも幸せな毎日が頭を流れる。
じい様に切り捨てろと言われ断って何度もぶつかり、そのたびに辛そうな顔をしていた澪。
澪の作る飯は本当に美味いと褒めると、毎回顔を赤くして嬉しそうにしていた。
仕事は完璧で俺の手を煩わせることはなく、寧ろ俺が使う書類の整理までいつの間にかしてくれていて。
食事に同席してくれない澪をいつも誘わなければならなくて、自分から座ってくれない澪に寂しくも感じたがそのやり取りを楽しんでいる自分もいた。
番にしたいほど好きな澪と一つ屋根の下で過ごしていると考えたり、風呂上がりの頬が赤く、少し潤んだ瞳に何度も欲情した。
澪が美味い飯を作るせいで、他の飯が食えなくなってしまった。
もう、微かにしか香らない昨日の澪の甘い匂い。
こんなにも愛しい澪。
何か俺のためにしてくれるだけで嬉しかった。
いつも、俺を助けてくれた。
これからは、+αである俺が澪を助ける番だ。
手の中の紙をゴミ箱に破り捨てる。
おそらく発情期が来たことで俺に迷惑がかかると出ていったのだろう。
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