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助けに行こうと踏み出した瞬間
目の前の魔獣が吹っ飛んだ。驚きで声が出ない。
「ったく世話が掛かる奴等だな…」
後ろで防壁をはっていた筈の氷雨が優人達より前に出る。
「氷雨ちゃん!危ないよ!?」
「危ないのわお前らだろ。この死に急ぎ野郎拾ってささっと後ろに下がれ」
即座にソルビルが優人を担ぎ後ろに下がる。
「団長!いいんですか!?」
大人しく下がったソルビルに団員達が困惑する。先鋭の自分達でも歯が立たない相手に入って来たばかりの新人に任せるのは異例だろう。
「いい。お前らも下がれ!」
団員達の意見も分かるがいつもと違う今の氷雨なら何とかなるのではないかという気持ちになる。それと、公開情報に載っていた討伐記録が異常な氷雨の真実を確かめたいという気持ちも勝ってしまった。
皆が後ろに下がるのを確認すると魔獣に向き直る。魔獣は、ラスボスなだけあって氷雨に吹っ飛ばされたというのに起き上がっていた。
「このままだと全滅しそうだからな、しゃーねーから俺が相手してやるよ。ゴリラ野郎」
言葉が通じたのかどうか分からないが胸板をドコドコ叩き咆哮を上げ氷雨に迫って来た。
大きな拳を氷雨めがけて何度も何度もぶつけてくる。拳の余波で強風があたりを走り抜ける。何十回と拳を叩きつけた後手を退けて見るとそこには、いつの間に出したのか分からない剣でガードする氷雨が無傷で立っていた。
「それで終わりか?」
ニヤリと笑った刹那、魔獣の片腕が吹っ飛んだ。遅れて青の血飛沫と魔獣の断末魔が上がる。
恐れをなしたのか魔獣は背中を向け脱走をはかった。しかし、植物の蔓が伸びて来て魔獣の体を捉えた。身動きが取れない魔獣にゆっくりと近づいていく氷雨。
「綺麗に捌かねーと高く売れねーから暴れんなよ?」
にっこりと笑っていう氷雨にラスボスは降参を余儀なくされたのであった。
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