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役立たずはここにいれない?タヌキに脅されてんのか?
「よくわかんねーが、今回は役立たずになってもらわねーとこっちが困んだよ」
氷雨は手から炎を出し火炎放射の様に漆黒の狼に叩きつける。それを鎌で受け流しているが熱までは防げない様で熱そうだ。
そこへ更に氷魔法も投入する。鎌を回してどちらも防いで断ち切ると今度は氷雨に差し迫ってきた。一瞬で間合いを詰め、大きな鎌を器用に回し斬りかかって来る。
それを全て交わし剣を出すと今度は氷雨が斬りかかった。カキンっと剣と鎌が交わる音が鳴り響く。
また激しい攻防が続くかと思ったが、戦況は一変した。漆黒の狼が突如動かなくなった為だ。否、動けなくなった為だ。
拘束魔法をかけたからだ。動けない漆黒の狼が、卑怯だとも言いたそうに睨んでくる。氷雨は何も声をかけることなく横を通り過ぎた。氷雨の戦いの概念に卑怯というものはない。使えるものは使う。それが氷雨の信念だ。
ヨンヒの元へ行くと丁度最後の1人を倒した所であった。
「終わったか?」
「ええ、氷雨様もご無事だったみたいですね」
「あぁ、何とかな。それよりもあのタヌキを慕う奴もいるもんなんだな?」
「慕うというよりも…彼は恐れているのです…」
珍しくヨンヒの言葉に覇気がない。そしてどこか哀れんだ様に漆黒の狼を見つめる。
「恐れてる?」
「えぇ、彼とお話ししましたか?」
「あぁ、ちょっとだけ」
「少し変わった喋り方でしたよね?」
変わってると言うよりコミュ症なのかというくらい言葉がたどたどしかった。
「彼は昔貧民街のホームレスでした。そんな彼を拾ったのがロベルト様なのです。最初我々は貧しい彼にご慈悲を与えるのかと思っておりましたが全くもって違ったのです。ロベルト様の嗜好の為に彼は拾われたのです」
「嗜好…」
「はい。ロベルト様は人を痛めつけるのが好きなお方で彼はよくロベルト様のお相手をなさっておりました…」
ヨンヒは漆黒の狼に気を使ってなのか言葉を選んでいたが、結論を言うと家族も金も家もない貧しい子供を拾うことで漆黒の狼を探すものなどいない。そんな子供をロベルトの嗜好の為だけに拾ったのだ。そして、幼い頃から折檻をしてきたのだろう。
「ロベルト様の嗜好はとても激しく、ある日泣き叫ぶ彼が煩いと舌を切ってしまいました」
「はっ!?」
衝撃の事実に思わず声を荒げる。
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