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優人がギルドに戻ってからすっかり気分屋は以前の落ち着きを取り戻していた。
暇を持て余し過ぎて最近は、お菓子作りにハマっていた。今日はマドレーヌに挑戦している。オーブンで焼きあがるのをじっくりと待っているとカランカランと店の開く音がした。
「いらっしゃ〜い」
カランカランと下駄を鳴らし店の方へ行くと銀髪を右サイドに流した切れ長の目の男がニコニコと立っていた。その隣には濃いブルーの長髪の女が居た。腰に二本の剣が刺さっている。
「久しぶりですね、氷雨さん」
「何しに来た、ウンスジ野郎」
頰を赤らめ親しげに語りかけて来る雲筋克雄をジト目で睨みつける。
「そんな無下にしないで下さい。あ、私はミルクティーをお願いします」
まだ何も言っていないのに、むしろ出す気が無かったのにお茶の催促をされる。
「私、ココア」
入って来てからずっと黙っていた女が、やっと口を開いたかと思えばココアをお望みの様だ。
仕方ないのでミルクティーとココアを用意し自分には抹茶オレを作るとお盆に乗せお店に持ってきた。
既に座っている2人の前にお望みの飲み物を置く。そして、お盆を置くと自分も席に着いた。
「ん〜いい匂いですね」
「あ?市販のミルクティーだぞ?なんか違うのか?」
「いえ、ミルクティーもいい匂いですが…奥から漂って来るマドレーヌでしょうか…?それがとてもいい匂いだと思いましてね」
こいつ…マドレーヌまで催促して来やがった。どんだけ、図太い神経してんだ。
自分の事は棚に上げ、心の中で愚痴る。
「あーまだ出来てねーんだ「チーン」
「丁度出来上がった様ですね?」
「………………………………」
「ぐぅ〜ぎゅるるるるるる〜」
お腹すいたとぼそっと囁きお腹をさする女を見て氷雨の良心が痛んだので速攻焼きたてのマドレーヌを持ってきた。そして既に空になった女のカップにココアを注いでやる。
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