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それはそれで辛い生活2
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「いらっしゃいませー」
入ってきた客を横目で見やり溢れそうな欠伸を奥歯で噛み締め消し去った
目がじんわりと湿っていく
「海野さん寝不足ですか?」
隣のレジに入っていた大学生の女の子、華絵(かえ)ちゃんが聞いてくる
「まぁね、どうにも生活リズムが良くなくて」
客がこちらを見ていない事を確認して大きく手を上に伸ばした
「ダメじゃないですか、目の下クマが凄いですよ?」
気がつくと近くに来て覗き込むように見られて少し動揺した
「良いんだよ、俺はもう背も伸びねぇし」
動揺した事を隠すように眼をそらし興味もないチラシの方を向いた
「そういう問題じゃないですよ、まぁ確かに海野さんは背も高いしこれ以上伸びなくて良さそうですけど」
苦笑した彼女がそう言った
「それは褒められてるのかな?それともノッポだと馬鹿にされてたり?」
内容が全く頭に入ってこないレジ横のチラシから彼女に視線を戻した
「褒めてますよ、海野さん格好いいんですから背が高いと言われたら褒められてると思って良いんですよ!」
たまにこの子は俺に格好いいと言ってくる
軽く会話に挟まれて言われる程度だから深くは聞かないが多分俺だけじゃなく皆んなに言っているような子なんだろう
「はいはい、そういうのは彼氏に言わないとね、あ、お決まりでしたらお会計こちらにどうぞ」
客が商品を手にしてレジに向かうか迷っていたようなのを見て声を掛けた
「海野さんは本当に格好良いのに」
とボソッと呟かれた言葉は当人には届かなかった
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