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新しい仕事は2
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「また新しい運転手雇ったの?」
車を家の門の前に止めて運転席のドアを開くとそんな声が聞こえた
声の主はもちろん茶色い頭で制服を緩く着てパーカーを羽織っているワガママな主人だ
「坊ちゃん、旦那様からのご指示ですので」
完璧なまでに美しい礼を坊ちゃんこと涼太にした執事は昨日とは違って頼もしく見えた
「はぁ、まぁいいか、どうせすぐ辞めるだろうし」
こちらに背を向けて執事と話している涼太はまだ俺に気付いていない
ドアを閉めてそちらに歩いていくとその音でこちらを振り向いて目を見張った
その表情が見たかったのだ
笑ってしまいたいのを我慢してにこやかな顔を貫く
「涼太様、新しく運転手として雇われた海野康太と申します、宜しく御願い致します」
更にニコリと微笑む俺の顔を見てだんだん顔を青くしていく
どうやら驚き過ぎて声も出ないようだ
後部座席のドアを開けてやり、頭を打たないように車の上の枠の手を添えた
「どうぞ、学校までお送り致します、お乗り下さいませ」
自分で思うのもアレだが案外様になっているのではないだろうか
執事の目があるからか
涼太は何の反論もなしに車の中に乗り込んだ
文句も言わず乗り込んだその姿が珍しいのか執事は少しだけ面食らった顔をしていた
「おい、何でお前がいるんだ」
車を走らせて数十秒するとそう聞いて来た
「涼太様、シートベルトを着用なさって下さい」
「チッ、その喋り方腹立つんだよ、普通に話せよ」
「ですが今は仕事中ですので」
「んだよ、主人がいいって言ってんだろが」
どうやらイライラが募っているらしい
「はいはい、分かったよ」
「お前、マジで何で居んの?」
「高収入で運転手募集してたから受けただけ、お前ワガママ言うのも大概にしろよ?運転手も執事もかわいそうで見てられなかったからな」
「別にいいだろ、俺の勝手だし、それより川の近くの潰れた工場あるじゃん、あっこ向かって」
「え、学校は?」
チラッと鏡から後ろを見ると涼太は外の景色を見ながら話していた
「んなもん行くかよ」
「おいおい、まさか今までずっと学校行くふりして運転手に溜まり場に連れて行かせてた訳?」
「まぁ集まりがある日はね、なくても学校ではずっと授業サボってるし」
不良のさがの一つ、自分がどれだけ悪いかと言う話になると悪事を全部言ってしまうのだ
それでも悪びれもせず堂々としているのを見て、止められる大人が近くにいないのが可哀想だと思えた
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