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ユーフェミアの呪い
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【ユーフェミア視点】
何か嫌な予感がして予定より少し早く帰ってきた。
アレンからプロポーズ受けてからまだ日が経っていないのに、何か胸騒ぎがするのは気のせいかしら?
レイもあれから少し私に素っ気ないから心配ね。
でも、私はアレンとの幸せな未来に期待しすぎて
あまり深く考えていなかったの。
レイのこと。
【本編】
いつの間にか夜が明け、次の日の昼になっていたらしい。
窓の外から差し込む陽の光の強さで何となく判断する。
僕の隣でレイは寝ている。
まるで昨日の出来事が夢だったのではないかと思うくらい、穏やかな顔をして眠っている。
だが、今日ユーフェミアは帰ってきてしまう。
俺に出来ることは1つもないのか…?!
必死で頭を働かせるがやっぱり防ぐ方法は無さそうだ…。
今でさえ、レイの魔法でベットから動くことすら出来ないのに…。
ユーフェミア、俺のこと信じてレイと仲直りしてくれるだろうか…、
最悪の事態を考えると、きっと俺は死ぬ。
…ゴソゴソ
おっ、レイが起きたのかな?
怒りがおさまっていれば、最悪の自体は防げるかもしれないが…
唯一動かすことの出来る目でレイのとこを見ると、
万遍の笑みを浮かべて
「僕のアレンおはよう!」
と言いながら抱きついてきた。
「ユーフェミアが帰ってきてからが楽しみだね!」
…俺はどこで間違えてしまったのだろうか。
俺はただ、ユーフェミアと幸せに暮らしたかっただけなのに…。
嘆くようなことを考えていると、
レイが大きな声をあげた。
「ユーフェミアが帰ってきたー!」
げっ、マジか よ。
このタイミングで…。
というか、こいつどうやって判断してるんだよ!
音も何も聞こえなかったぞ?
本当はユーフェミアのこと大好きなのでは…?
「ユーフェミアきっとこの部屋に入ってくるから」
とレイは言い口付けを始めた。
レイの予想通りこの部屋にユーフェミアが入ってきた。
「レ、レイ?」
「アレンに何をやっているの?」
ユーフェミアの声はとても美しい。
って、聞き惚れている場合じゃなかった。
ユーフェミア!助けて!
「ユーフェミア遅かったね?
僕、本当はアレンと両想いだったんだ。
見て?僕の足、元の姿に戻ったでしょう?」
レイの声はとても楽しげに聞こえた。
ショックを受けているのかユーフェミアは完全に黙り込んでしまっている。
すると、突然僕の口が動き出した。
「ユーフェミア、聞いてくれ
俺はユーフェミアを愛していたんじゃない、
ユーフェミアと似た君の弟レイに恋をしていたんだよ。」
ち、ちがう!
ユーフェミア!聞くな!
俺は…、レイに!言わされているんだ!
「じゃなきゃ有り得ないだろ?
話すこともできない女の子相手に本気で恋なんてすると思うか?」
言葉など関係ない!
俺は、声が聞けなかった時でも一緒にいられるだけで本当に幸せだった。
他の誰でもない!君のことが本気で好きなんだ!
目に涙を溜めたユーフェミアが口を開いた。
あの時の幸せな涙だったらどんなに良かったか…。
「で、では、何故…
何故、私の声が治ったの…?
本 気で私のこと好きでなきゃ治らないはずじゃ…」
「キスをした時、本当に思っていたのは君のことだよ。正確には、君の容姿に重ね合わせたレイのことを思っていたんだけどね」
俺、ほんと黙れよ!
ユーフェミア…、俺は本当に君のことを愛していた
もちろん、今も愛している。
魔法で操られていると気づいてくれ…。
ユーフェミア…泣かないでおくれ。
俺はユーフェミアを愛している…。
レイの方を睨見上げると、レイは勝ち誇ったような顔をして笑みを浮かべていた。
だが、次の瞬間レイも予想していなかったことが起こる。
ずっと泣き続けていたユーフェミアだったが、
突然泣き声が笑い声に変わった。
「ねぇ、アレン?
私も騙して愛を囁くのには満足しましたか?
満足したのよね…。」
『人はいつの世も私たち力もつものの気持ちを考えず、自分の利益のために利用する。』
ユーフェミア…か?この声…少し違う気が。
すると、レイが
「この声!またあの時と同じことが…
ユーフェミアが暴走する…」
レイは逃げ出したが、ユーフェミアの圧倒的魔力には叶わなかったのか、床に伸びてしまった。
それと同時に、俺にかけられていた魔法は解けたらしく、すかさずユーフェミアの方へかけて行き、抱きしめた。
ユーフェミアは意識を取り戻さない…。
暴走したユーフェミアの涙が俺の右肩に落ちた。
落ちた涙は肌が焼けるくらい熱く、
そこへ目をやると、涙が落ちた部分だけ服が溶け
肌には人魚のシミが刻まれていた。
レイの方へ向かおうとするユーフェミアを止めようと必死にしがみついていたら、一瞬気を取り戻したのか、ユーフェミアの声で
「アレン、あなたはそんなにレイの事が好きだったのですね。
今も私を行かせまいと立ちはだかる。
あなたに、女性を傷つけることのできない呪いをかけます」
ユーフェミア…、
俺はあなたのことが大好きでした。
これで、俺の記憶は途切れている。
きっと、誤解を解けないまま死んだのだろう。
今世の俺の右肩にも、人魚のアザがついている。
生まれた時からあり、消えないらしい。
あのあと、ユーフェミアやレイがどうなったのか気になる時があるが、過去のことを気にしすぎても変わることは何も無い。
俺は今の人生を楽しく生きていく。
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