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俺のクラスは1のA
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兄とは廊下で別れ俺は今教室のドアの前で1人だ。
慌てて昇降口を後にしたため、クラスメイトが充分に把握出来ていない。
ドアの前で少し緊張して立っていたが、
このままではダメだと思いドアに手をかけた。
が、ドアを開けた瞬間後から襲撃をうけた。
誰かに背中を思い切り押されたのだ。
前のめりになったものの持ちこたえた俺は
だいぶかっこ悪い姿で捕えられているのだろう。
クラスメイトの視線が俺にささり、
賑わっていた声がいつの間にか静まり返っていた。
俺は混乱したがクラスメイトに何か言った方が良いという結論に至り
「みんな、おはよう。
3年間よろしくお願いします」
と言いみんなに向かって微笑みかけた。
すると、クラスメイトの1人が
「早乙女 結城さん?」
と疑問形で独り言を呟くと教室の雰囲気が元通りになり、いやそれ以上になり、
俺の周りはいつの間にか、沢山の人だかりができてしまった。
俺の周りにいるクラスメイトを見渡してみたが、
どの人も同じクラスになったことがないみたいだった。
…俺の知り合いがいない。
少し落ち込みそうになった時、背中を押されことを思い出す。
そこで後ろを振り返ると、見た事のある顔がいた!
「りゅ、りゅうちゃんに、いっくん?!」
中等部の頃クラスで一緒にいた2人がドアの近くに立っていたのであった。
2人のところに今すぐにでも駆け寄りたいのだが
何せ名前も知らないクラスメイトに囲まれているせいで身動きが全く取れない。
困った様な顔をして2人の方を見ると
「俺達の結城を返せー!」と大声を上げながら
りゅうちゃんが大勢のクラスメイトの中に飛び込んできた。
いっくんは呆れた顔をしながらも、
僕を助けにりゅうちゃんの後を続いている。
「ふぅ、おかげで助かったよ
りゅうちゃんもいっくんもありがとう」
この2人には本当に感謝だ。
あっ、そうそう!
紹介が遅れてしまったが…
この茶髪…じゃなかった、
りゅうちゃん = 羽田 龍之介 は俺の幼馴染である。
サッカー部に所属しており、中等部にいた頃から活躍していた。
性格は明るくて困っている人はほっとけない様な
正義感の強い人なのだが…
…たまに本人は助けているつもりなのだが、明らかにもっと困らせているということがある。
そんな時すかさずフォローというか、
更に困った相手を助けるのが
いっくん = 一之瀬 威吹 の役目。
フォローの仕方が的確な上、
スムーズ に問題が片付くから大抵いっくんの方がお礼を言われているかな。
いっくんは中等部で仲良くなった友人だ。
彼は弓道部に所属しており、
弓を弾いてる時の姿は男の俺でも惚れ惚れする。
そのくらいかっこいいのだ。
この2人を別の言葉で表すと…
りゅうちゃんがゴリラでいっくんは飼育係と言ったところかな笑
何はともあれ、
中等部時代ずっと一緒にいた2人と同じクラスになれて、とても俺は幸せだ!
しばらくすると担任となる先生が教室に入ってきて自己紹介を始めた。
というか、こういうのって始業式が始まってからではないのか??
なんで「新しい先生誰かなぁ」とか考えさせてくれないんだよ!
と、1人ツッコミをしながらお話を聞いていた。
この先生は50くらいだろうか?
もちろん、先生は男だった。
薄らとはげているのが印象的だ。
ストレスとか苦労したんだろうか…?
ぼーっと先生の書く黒板を見ていると、
名前の隣にあだ名らしきものが書かれている。
思わず口に出して読んでしまった。
「も、桃太郎?」
それに気づいた先生は照れながら話した。
何せ、小さい頃から母に読み聞かせてもらっていた童話= あのかの有名な 桃太郎 に憧れているらしい
き〇だんごで動物を連れて鬼退治にいくという、
あの有名なお話だ。
中々面白い先生だった。
このお話を聞いていた俺は"桃ちゃん先生"と命名していた。
桃ちゃん先生は、自己紹介という場を借りて
猿やキジや犬を募集し始めた。
流石にこれにはクラス中がドン引きしていた。
そんなクラスの反応をみた先生は、
少し寂しかったのか話すのをやめて
生徒に自己紹介をさせ始めた。
少し可哀想だと も思ったが、
桃ちゃん先生の桃太郎への熱い思いは
語り出すと止まらなそうな勢いだったから
慰めの言葉をかけるつもりはない。
この先生の自己紹介で、
クラスの雰囲気がだいぶ和んだみたいで
生徒の自己紹介も自分の思い思いに始まった。
桃ちゃん先生同様に、
自分の好きな物語を言うものや、
好きなスポーツ、将来の夢など色んな話題が出た。
「早乙女 結城」
ついに、呼ばれてしまった。
名簿で回っているから早いことは覚悟していた。
特に思いつかなかったから、
とりあえず頭に浮かんだことを語り出した。
「結城です。よろしくお願いします。
高等部で生活することが憧れでした。
とっても楽しみにしています。
3年間仲良くしてほしいな。」
そう言うと、教室内がザワザワと話し出した。
何か変なことを言ったか…と思い、
いっくんの方へ向くとヤレヤレという顔をしている
とりあえず、座った俺は桃ちゃん先生の方を向いた
先生なんかフォローしてくれ!
すると、桃ちゃん先生の口が開いた。
俺すげー!通じたのか!ここはお願いします!
と念力を送っていると、
「早乙女って確か2年にお兄さんがいたなー?」
「はい、いますけど…」
言うことそれかよ、
まぁ、確かにザワザワが収まって俺達の話にクラスメイトが耳を傾けているが…
「兄弟揃って本当にイケメンだよな。
で、あの噂は本当か?」
「あの、噂って何ですか?」
この先生はなんなんだ。
自己紹介の間にこうも会話をいれやがって!
「お兄さんが君のことを溺愛してるって噂だよ」
と言いニヤァと笑った。
腹に1発入れてやろうかと思った。
先生は何を知っているんだ。
というか噂ってなんだよ!
兄貴ぃぃぃぃいぃぃぃ!
俺は今、クラス中の視線を集めている。
この、返答次第で何かが変わってしまう気がした。
が、考えが追いつかない。
すかさず、幼馴染である りゅうちゃん へ視線を向けた。
すると、りゅうちゃんは立ち上がって、
「先生!
結城はお兄さんにとっても可愛がられていますが、それがどうかしたんですか??」
この馬鹿!確かに俺は兄に良くしてもらっているが新学期そうそう明かすやつがあるか!
いや、バカは俺か。
何故いっくんに助けを求めなかったのだろう。
冷静さにかけていたな。
クラスメイトの視線が更に熱くなった気がする。
そうでなくても目を惹くような容姿をしているって言うのに…。
って、ここでそんな自惚れている場合ではなかった
俺は今度こそいっくんの方を向くと、
何やら楽しそうに笑っていたが、
俺の必死さが伝わったのだろう。
次はいっくんが立ち上がって、
「桃太郎さん、始業式までの時間が迫っていますが
クラスメイトの自己紹介の方は大丈夫なのでしょうか?」
いっくんは素で言ってるのか、天然なのか…
本当に桃太郎って呼んじゃってるよ!
俺は頭にあの光景がよぎる。
『桃太郎さん、桃太郎さん。
お腰につけたき〇だんご1つ私にくださいな。』
という、知らない人はいないであろうあの場面だ。
確かに、
頭の良さと言い、あの落ち着きと言い
いっくんは、犬だな。
となると猿は、りゅうちゃんか。
ん?
このままだと俺はキジになるのでは…。
っおおっと、いけない。
また、妄想が独り立ちしてしまった。
悪い癖だな…と反省し先生の方を向くと
いつの間にか話が済んでいたのか
自己紹介に戻っていた。
はぁ、助 かった…。
俺は、目が合ったいっくんに向かい
顔の前で合掌した。
いっくんは、
その様子を見て少し笑っていた。
本当に、いっくんと同じクラスで助かったと痛感するホームルームだった。
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