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春日君と夜風君
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キーンコーンカーンコーン
「じゃ、今日はここまでー、来週テストだからしっかり復習しなさい」
4時間目の終了のチャイムが鳴ると、教師も生徒も、昼食のためにさっさと教科書を片付けだす。教卓を後にしようとした先生が、思い出したっと顔あげた。
「あー、そういえば皆部活は決まったかー?決めてない奴は、是非、発明部へ来てくれー、部員が入らないと部費が増えないからなぁー」
「先生ぇー、その勧誘じゃ、部費は増えませーん」
「しまった、つい本音がぁ」
「「ぎゃはははは」」
ドッと教室が湧いた。
先生は頭をガシガシかきケラケラ笑いながら出て行く。
部活…どうしよう、まだ決めてないし、行ってみようかな?発明部おもしろそう。
そんなことを考えてボーッとしてると廊下から檜山君の声がした。
「夕祐!行くぞ!」
「はぁーい」
隣のクラスの檜山君と、いつも、共同スペースの屋上で、みんなでお弁当を食べるのが日課。
このお弁当は、檜山君のお姉さんがいつも届けてくれる手作り弁当で、どれもとても美味しくてほっぺが落ちそうになる。
「うわ〜、今日も豪華だねぇ〜」
「喜ぶな、コレは花嫁修業と言う名の毒味だ」
「いつもおいしいよ」
「…この料理には、兄弟の苦手な食べものが必ず含まれている」
「へー、知らなかった、でも、皆残したことないよね?」
「殺される」
うんざりと言った檜山君、彼のお姉さんは、とっても美人なんだけど、兄弟全員を服従させる女王様。好奇心旺盛でこり性、武道の嗜みもあってめっちゃ強い。檜山君も付き合わされてそれなりにやったけど1度も勝ったことがないという。
僕は何やっても普通だから羨ましい限りだ。
ガチャン
「夜風(よかぜ)君、只今参上!!」
元気な声が屋上に響いて、2人の少年が現れた。
その顔を見て、檜山君の強面な表情が緩み、目尻が下がる。
「遅かったな、夜風、春日(はるひ)」
「いやー、4時間目の先生がさぁー、黒板写し終わるまでが授業だぁーとか言ってきてさぁー」
夜風と春日と呼ばれたこの2人は、檜山君の弟の双子ちゃん、中等部の1年生。
2人は一卵性なので、基本見た目はそっくりで見分けがつかない、身長150cmと小柄で華奢な2人。運動神経も頭も良いとなんでも同じ。そんな2人だが、性格は正反対。
さっきっからチャライ口調で話しているのが、六男の夜風(よかぜ)元気でやんちゃで何でもそつなくこなす自由人。檜山君と同じ真っ黒の髪を女の子みたいにツインにして逆立ててる。前髪の一部には赤いエクステを着けている。
「夜風が、居眠りばかりしてるからですよ」
「うぇ、春日さんサラッと告げ口」
こちらの、表情少なに冷ややかな口調の方が、五男の春日(はるひ)物静かで真面目、成績トップの秀才、黒一色のツヤ髪が肩まで伸びている。本当は行動力も熱い気持ちも持ってるけど、春日がやる前に全部夜風がやっちゃうから大人しくしてるっていう感じ。夜風が動で春日は静、そんな感じでバランスはとってもいい。
それにソックリな面もある。
「夜風、またか居眠りか。真面目にやってくれないと、また兄の俺が先生に呼ばれるんだぞ」
「真面目だよ、俺成績良いんだぜ!」
「素行の問題ですね」
「夜風、あんまり態度悪いと、兄さんと姉さんに報告するぞ」
長男と長女の事を言われて夜風が顔色を変える。
「ひな兄様、それは。勘弁してよぉ〜、姉貴が降臨したら世界は滅亡だ!!鉄拳が飛んでくるじゃん!!ひな兄は俺がいたぶられても構わないっていうのぉ〜?」
うるうるとした瞳で檜山君を見つめて小首をかしげる、彼は自分の使い方をよく知っている。
「グッ…」
檜山君が息を詰める。こうなったら逆らう事などできない。
いつものやり取りに、僕は笑をこらえるのに必死。
その様子を眺めていた春日が小さく息を吐く。
「ひな兄さん、僕が代わりに言ってあげますよ」
「春日」
「えー、ずりぃーよー、じゃあ、ひな兄の成績が下がってるのも言っといてよぉ!」
「それは言っておきましょう」
夜風君と春日君は小悪魔です。
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