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マキ
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「可愛い子はべらせて、何してるの?戀兎♪」
マキは夕祐にもたれかかったまま、話を続ける。
「不良に絡まれてるのを、一緒に逃げてきたんですよ」
「んふ、これあげる」
マキが手にしていたお札を、戀兎に差し出す。
「…まさか」
「ふふ、オモチャが三つ手に入りました♪」
「…会長に怒られますよ、いつから見てたんですか?」
「いつからがいい?、てか、取り返したんだから受け取ってよ」
取り返した?あの不良から?
あのマキと同一人物なら、戀兎とどういう知り合い?
状況の分からない夕祐、マキに抱きつかれたまま固まって、隣の岩龍はオロオロしている。
「これ、多いいです」
「手数料?人のもんに手ぇ出したんだから当然でしょう?」
そう言ってマキは、夕祐を解放して、戀兎に近づき、両手を頬に添えた。
戀兎が身じろいで、目を細めて睨むと、マキが、愉快そうに微笑む。
「怪我はない?」
「ありません」
「君たちは?」
振り返ったマキに、夕祐は息を飲む、中性的で妖艶、モデルのような美しいさ、くりくりの癖っ毛を肩より伸ばして後ろで束ね、女だと言われればそう見える華奢で白い肌、怪しく潤んだタレ目の瞳に、左眼の下に涙ボクロがさらに色気を放つ、
この人が…マキ
あの扉の向こうにいた人?
人のもんって??
「ねぇ、君さ」
マキが岩龍に近づいた。
綺麗な指が岩龍の耳の付け根から顎へ滑り、そのままそっと喉をくすぐる。あまりの仕草に岩龍からボンっと効果音がして、赤面した。
「顔が見て見たいんだけど、見てもいい?」
首を傾げて可愛く強請る。その仕草がとてもエロい。
「子供をからかうんじゃありません」
戀兎が冷たく言い、マキの手をはらう。マキがおかしそうに喉の奥で笑った。
「だってぇ、さっきの奴らが、綺麗だって言ってたんだもん」
戀兎を見ながら口を尖らせて、子供みたいな口調をしたが、戀兎は厳しい表情のまま。
「普通に頼みなさい、普通に」
「…はーい、ねぇ君、僕にも顔見せて♪」
「あっ、は…い」
岩龍がおずおずと前髪をあげた。
綺麗エメラルド色の瞳だった。
吸い込まれそうな宝石の色…
それに、岩龍君…顔…
「君、かっわいいねぇ、なんで髪こんななの?髪は黒に染めてるの?」
「か、髪は地毛です。父も黒なんで…髪型は…か、隠したくて」
「もったいないなぁ?」
「マキ、もういいだろ?」
「戀兎冷たくない?」
「火浦君が、怪我してるから」
「あっ、たいしたことじゃ」
急に話をふられて夕祐が慌てる、マキの怪しい瞳が夕祐をとらえた。
「大丈夫?手が痛いの?」
右手で左手首を握ってる僕に近づく、近くで見るマキは、恐ろしく美形だ。
すっと伸ばされた手が左手首に触れて、ビクッと身体が反応する。
「あの、もう、大丈夫です」
「…もう…何?」
!!
今、笑った。
左手首に触れていたマキの指がスススーっと触れたまま降りて行き、肘で止まった
「んっ」
「ここ、擦りむいてるよ」
指摘されて初めて、肘を擦りむいてることに気がついた、マキがニコリと笑う
「絆創膏、持ってるからあげるね」
「マキ、まだ消毒してないから、僕たちは行きますよ」
戀兎が、岩龍の腕を掴み引っ張る、それを見て夕祐も、戀兎に駆け寄った。
「ああ、そうね、帰って消毒したほうがいいね」
ヘラヘラして、左手をひらひらとマキが振った。
3人が背中を向け、歩き出すと
「あっ!」
マキが何か思い出したかのように声を出して、戀兎に近寄る。
「消毒したらさ、絆創膏使ってよ、…ね、…ゆうちゃんに」
「………。ーーわかった」
マキがへらっと笑って
「お大事に」っていって何処かにいってしまう。
マキがいなくなって、絆創膏を持つ戀兎の手が微かに震えていた。
あの人は何?
戀兎の友達?
なぜそんな苦しそうなの?
それにあの人…
僕のこと知ってる
** ** **
寮に帰り着いた僕らは、医務室へ向かった、こなくてもいいよって言ったのに、岩龍君が、どうしてもってついてきて、医務室の先生に「また来たのか、今度はなんだ」って笑われた、そのあと少し休んで、図書室で勉強して、3人で夕食を食べ、僕はお風呂に入り、ジャージに着替えて、戀兎の部屋に向かう、合流した戀兎と点呼をとって、戀兎が部屋に送ってくれた。その間、ずっと優しい戀兎だった、告白しちゃってどうなるかと思ったけど、戀兎変わらずにいてくれた、それが、嬉しいようで切ない。
「今日、岩龍君と寝るんでしょ、夜更かししないでくださいね」
「大丈夫だよ、今日はいっぱい走って疲れてるし」
「僕も疲れました」
「有馬先輩は、かっこ良かったよ、おやすみなさい」
「おやすみなさい……火浦君」
「ん?」
「…マキには気をつけて、絶対2人になったらダメだよ」
今まで見たことのない戀兎の眼差し。
突き刺さる様な真剣な瞳
やっぱり、あのマキは、扉の向こうにいた人物と同一人物…
「うん、わかった」
夕祐は納得して、部屋へ入って行った。
戀兎…
戀兎は
大丈夫だったの?
ーー深夜AM1:03
皆が寝静まったA棟に、1人の人物がいた。
その人物は、迷うことなく、ある場所を目指す。
部屋の番号札の下には各生徒の名前が記されている。
その人物は、軽く札を見ただけで、そこであってると自信たっぷりにドアノブに手をかけ。
笑った。
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