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震える声
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部屋を飛び出した夕祐は、気がついたら戀兎の部屋の前にいた…
手に持ってる物に戸惑い、でも部屋へ置きにも帰れず、ウロウロした挙句、とりあえず手紙を渡すことにした。
ーコンコン
控えめにしたノック
マキがでてくることも想像した。
ドアが開いて出てきたのは、
ジャージ姿のマキだった。
今日はキッチリ上までチャックが閉められていて、僕が来るのがわかっていたみたいな顔をしていた。
「また来たね♪」
また、追い返そうとしてるのかな?
今日はちゃんとした用事がある
「こんにちは、あの…」
「まぁ、入れば?」
「え?」
マキがドアを大きく開けてくれている。
夕祐は想像してない反応に目を丸くしたが、マキは微笑んで中に入るように、中を指差した。
「戀兎に用があるんだろ?」
そう言われて、夕祐は足を進めてた。
部屋の中は薄暗く、そこは、昼間だというのにカーテンが閉めてあり電気もついてない。
…戀兎寝てるのかな?昨日具合が悪かったんだ…
入って左側にベットがあり、戀兎が横になってるのが見えた。
マキは戀兎の横まで行って、戀兎のおでこに手を置いて、唸り、耳に唇を寄せて何か戀兎に耳打ちすると、戀兎が薄目を開けた。
「んじゃ、僕休憩してくるから、ごゆっくり」
部屋に居座ると思ったのに、マキは左手をひらひらさせてあっさり部屋から出て行ってしまった。
あ、でも、休憩って言った、また戻ってくるのかな?
「ゆうちゃん?」
久しぶりに名前で呼ばれてドキリとする。
「だ、大丈夫?具合悪いの?」
「…中山の風邪うつっちゃって」
「あ、それで点呼別にとってたの?」
2日前から急に接触が無くなったのは、風邪をうつさないため…ということはマキさんは…看病してた?
「具合悪いなら、言ってくれれば点呼変わったのに」
「…もともと僕と中山の仕事だし…」
戀兎はおでこに腕を回して、辛そうに息を吐いた
「もー!、臨時でも正式に任されてるんだから任せてくれればいいのに」
「…ごめん」
「熱は?高いの?吐き気は?」
少し怒ったような夕祐物言いに何故か笑う戀兎
「ふふ」
「な、なんで笑うの?」
「昔から変わってないなぁって思って」
「え?」
「ゆうちゃん、僕がちょっとでも具合悪いと嗅ぎつけて、急に母さんみたいな口うるさくなる…ふふ」
そうだっけ?と昔を思い出そうとしたけど、戀兎に面倒を見てもらった記憶しかない…
とりあえず、戀兎の横にしゃがんで膝立ちして、おでこに手を置いてみたが、とっても熱い。
「何度?」
「聞かなくていいよ」
「…」
ちょっと睨んでみたが、戀兎はクスクスと笑ってばかりいる。
「用事があるんじゃないの?」
「あ、手紙、手紙きてた」
「あー、机に置いといて」
机を見ると綺麗に整頓されている、さすが戀兎だな、と夕祐は思いながら、手紙を机の真ん中に置いた。
それからまた戀兎の隣に戻って、布団から出てた手前の左手を握る、
「何?」
「戀兎がいつもやってくれたおまじない」
「あ!」
両手で左手を握って、おでこにチュッとキスをする。
「これで早く治るね」
ニッコリ笑った夕祐
固まってる戀兎にハッとする
あ!しまった!
「あ!ご、ご、ごめん!つい!ぼ、僕いくね!!」
慌てて立ち上がってくるっとドアの方を向くと、ツンと右手を後ろに引っ張られて、バランスを崩してベットに倒れこんだ
「うわ!ご、ごめん」
戀兎のお腹の辺りに倒れこんでしまい、戀兎が呻いたので慌てて体を起こして戀兎の顔の方を向いた。
至近距離に近づいた戀兎は、熱で瞳が潤み、頬が赤くなってる
「戀兎大丈夫?」
同じ高さで視線を交え、あまりに赤い顔だったから、手を伸ばしそうになったの手をグッと堪えて引っ込めた夕祐
それを目で追っていた戀兎が眉を寄せて苦しそうに顔を歪めた。
あっ、しまった、近づき過ぎた。
歪められた顔に罪悪感を感じて、夕祐は自分では気づかぬうちに、自身も眉を寄せていた。
体を離そうとしたその時。
体が温かいものに包まれて動かなくなった。
「え?」
夕祐を包むように抱きとめたのは、戀兎だった。
ベットに乗り上げてしまった上半身を両手で起こしている状態の夕祐にベットで上半身だけ起こした戀兎が、肩に両手腕を回して顔をうずめている。
数分して状態を理解した夕祐が、そっと戀兎の背中に右手を回してなだめるように優しくポンポンとしてみる
「…戀兎?」
優しく囁いてみたが戀兎は動かず、微かに震えてるようだった。
な、泣いてる?そんなに苦しいのかな?先生呼んだ方がいいかな?
「…ゆうちゃん、ごめん」
「え?」
突然の謝罪に首を傾げる。
「どうしたの?」
「…ごめん」
その言葉が、なんとなく腑に落ちた。
「戀兎が気にすることじゃないよ、上手く出来なくてごめんね」
自分の戀兎に対する気持ちへの謝罪だと感じて、こっちが申し訳なくなった。普段どうりしようと思って、できてない自分に腹が立つ。
「戀兎は気にしないで、僕が勝手に戀兎を好きなだけだから、…戀兎、寝た方がいいよ…」
顔をうずめられて、目がみれないから、戀兎が何を考えてるか分からない。
体を横にしてあげようとして、押してみたが、戀兎体は動かない。
抱きつかれたままで妙な嬉しさがこみ上げてきて、夕祐はほっぺをつまんでみた。
うーん、これはマズイ。
ほっぺをつねった自分への制裁もあまり意味をなさず、心拍数だけが早鐘をうつ。きっと後日都合のいい夢のネタになるだろう状況に頭が痛い。
「れ、戀兎?」
「……めん…」
「謝らないで、悪いのは僕だから」
戀兎の腕に力が入り
声が震えてる
「…そんな顔…させたかったんじゃないんだ…」
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