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分からない獣
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「熱はいつからあったんですか?」
「ん?んー、一昨日の夜中?」
戀兎がクシャミした日だ。
やっぱり調子悪かったんだ。
「まー、最初は熱だけだったから、なんとかテスト受けちゃったけど、今朝は結構ひどかったね」
「先輩って確かB棟ですよね?」
「そうだよ、あー、なんで面倒見てるかって?下心?」
ケラケラ笑ったマキ。
どうやらこの人は笑顔の下になんでも隠してしまうようだ…と夕祐は思った。
「世話係は泉なんだけど、あ、泉知ってるよね、水森泉」
「知ってます」
「あいつ自宅組だからさぁ、俺が見てあげてるの、まぁ役得♪」
なんでこの人はわざとこんなにチャラチャラして喋るんだろう?
「何?」
マキを観察するために、うっかり凝視してしまい、マキはニコニコしながら首を傾げた
「そんな、じっと見たりして、惚れちゃった?」
「いや、マキ先輩は綺麗でかっこいいですが惚れません」
「綺麗でかっこいくて可愛いのに?」
単語一つ増えてるし。
お茶目に笑って見せるマキは確かに可愛い、ズイッと迫ってくるマキに少し緊張する。
でも、マキに感じる違和感の方が強い。
「ゆうちゃん可愛いし、いつでも相手してあげるよ?」
「いりません」
「耳赤いよ、少しは可能性あるのかな?」
至近距離に迫って来られて、思わず後ずさると、その分寄ってくるマキに、壁際に詰め寄られる。
「ないです、全くないです」
「嘘、意識してるくせに、俺テクには自信あるし」
いや、なんで僕迫られてるんだろう?
疑問が頭を飛び交う中、夢で裸のマキに迫られたのを思い出し、鳥肌が立った
やだ…戀兎以外の男なんて気持ち悪い…
元々がどうだったかは分からないが、初恋から戀兎、それから悩んで自分の性癖について考えたが、他の男の子を好きと思ったことはない、女の子は可愛いと思う、ただ好きになったことはない、自分がなんなのかは分からないが、夢でマキに迫られて背筋が寒くなり、今実物に迫られてやはり背筋が寒い…そう考えると、夕祐は根っからゲイではなさそうだ…とパニクる頭が冷静になろうと思考を巡らす。
「気持ちよくしてあげるよ?俺上も下もいけちゃうから、どっちでもいいよ」
「…先輩はいったいなんの話をしてるんですか?」
拒否の意味もあり、強めに言ったが、動じる様子もないマキは、顔をそらす夕祐の頬に息がかかるほど近寄って妖艶に笑う
「とぼけちゃって、セックスだよSEX」
「先輩は戀兎が好きなんでしょ?」
「戀兎じゃなくて、君を好きならヤってもいいの?」
「違います!!」
逸らした顔を覗きこまれて、逃げ場がない。男にしては綺麗すぎる顔が目の前にある、怖いと思いながら、恥ずかしい気持ちもある。
どんなに恋愛について勉強しても、経験は勉強できない、人とこんなに至近距離なのは人生で3度しかない、1度目は小6の夏、2度目はゲイの友達に手を握って抱き締められた時、3度目は今
マキは、封筒を体の前にして両手で抱えるように持ってる夕祐の腕をそっとなぞるように撫でる
ゾクりとした妙な感覚が腕から伝わり、焦りはMAX
「君のこと可愛いと思ってさ…」
「…」
「童貞捨ててみる?」
あまりに露骨な言葉に、顔がカッと赤くなる。
確かに童貞だけど、高1なんだから普通だ!と思いながら、あまりに妖艶なマキにすでにいやらしいことをされてるように感じて体が震える。
「うわー、真っ赤」
「…どうして」
「ん?」
ニヤニヤしたマキが、愛らしく首を傾げる。
夕祐は意を決してマキの妖しい瞳を見つめた
「どうして、さっきっから嘘ばかり言うんですか?」
「嘘?」
「おちゃらけてごまかしてばかりで、先輩は嘘ばかりだ、今日だけじゃない、いつも笑って隠して、思ってないことばかり並べて、だから…」
少し大袈裟に言った言葉にマキの薄ら笑いが一瞬固まって、瞳が鈍く光った。
ーバン!
ーバサバサ!
「痛」
両腕をひねり上げられて、壁に縫い付けるみたいに手首を握られた。
驚くほど強い力に夕祐は顔をゆがませる
「…君も、何か見える口?」
「え?」
見える?何が見える?
疑問に思って巡らせた思考に、犬山先輩が思い当たった
『あー、マキちゃん今日は随分濁ってるねェ~?昨日はお仕置きぃ?』
図書室でマキを見つけた犬山は確かにそう言った。
ーコンコン
ーガチャ
「おやおや、懲りませんね」
「あーらら」
入り口を開けたのは、水森と犬山
水森は呆れたように眉を寄せた。
夕祐を押さえつけてるマキは全く動じず、夕祐を壁に押さえつけたまま、ヘラヘラしている。
「ゆうちゃんのこと気に入っちゃった♪」
「マキ、君の勝手だけど、ここは病人が寝てるんですよ」
冷めた口調の水森は、別に夕祐の味方ってわけではないらしく、マキと夕祐を素通りして戀兎のそばに歩み寄る。
「あー、じゃ、場所かえようか?ここは泉に任せてさ」
え!
マキは楽しそうに笑った。
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