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助け舟の作り
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マキと二人きりは何かよくなさそう…夕祐は逃れる口実を考えていたが、自分がクラスメート宛の手紙を持ってるのを思い出した。
「僕、事務所のおばちゃんに頼まれた仕事が残ってますから、ここで失礼します」
マキから手を解こうとしたけどなかなかの力で握られていて取れそうもない。
マキさんて白くて細いのに何でこんなに強いんだろう…
「まぁまぁ、そう言わずにもう少し俺といようよ」
マキの膝が夕祐の膝を割って入ってこようとして必死で足に力を入れる。
「マキ先輩!」
「何?」
ニヤニヤしてるマキを夕祐が止めるのは無理そうで、余裕の笑みを浮かべるマキを睨んで見たが、なんの効果もなさそうだ。
するとマキの後ろに大柄の犬山が近づいてきてマキの背中にピッタリとくっつく、マキは迷惑そうにそのデカイ犬山を見上げた。
「なんだよ」
「いや~その子さぁ~、うちの貴重な部員候補なんだよねぇ~」
ニコニコ笑顔の犬山の呑気な声が間伸びしながら降ってくる。
「ポチも狙ってるの?」
「部員になるなら助けなきゃなぁ~って思って…ねぇ泉?」
名前を呼ばれた水森が、戀兎から視線を外して、夕祐を見る。
水森が何やら薄く笑って目を細め…
「そうですね」
眼鏡が光った気がする
ここにいる人間は企みばかりでどの人物も安全とはいえない…夕祐はそんなことを思ったが、怪しい助け舟だがマキよりはマシだろう
「入部します!!助けてください!!」
夕祐の言葉を受けて、水森と犬山が微笑んだ。
マキはうんざりと言った感じのため息を漏らす。
「と、言う訳で~、マキちゃん、手を離してよ」
「はいはい」
やっと解放されて、夕祐は慌てて茶封筒と手紙を拾う
マキはつまらなさそうに戀兎のベットの足元に腰掛けた。
「火浦君、用事があるんだろ、行きなさい」
「はい!」
水森に言われて、夕祐は出口へ向かい、お辞儀して逃げるように部屋を後にした。
「なーんで邪魔ばかりするのかなー?二人とも」
戀兎の足元に寝そべったマキは口を尖らせて犬山を睨んだ。
犬山はニコニコするばかりで、マキはプイッと視線を水森向ける。
水森は視線を無視して、見舞い用に持ってきていた袋を開けて冷却用のシールの部分を剥がしている。
「無視か」
「ふふ、貴方の為に邪魔したつもりですが」
冷却シートを戀兎のおでこに貼り付け、タオルで戀兎の汗を拭く
「何それ」
マキは水森の言ってる意味がわからず眉をしかめた。
水森は視線だけマキを見てまた笑って視線を戀兎に戻す。
「君、あの子にちょっかい出すと、火傷しますよ」
「ハハ、なにそれ?」
「言葉の通りですが、手ひどい火傷になりますよ」
「ふっ、戀兎みたいに?」
「…戀兎は全身火傷ですね、マキもそうなりたいですか?」
「ハッ、あんな子猫ちゃんに俺がどうにかされちゃうの?子猫ちゃん童貞だよ?」
マキはチャンチャラ可笑しいと言った様子で鼻で笑っていたが、目の前に犬山が近づいてきてマキは鼻をつままれ、両目でその手を睨む。
「マキちゃん、確かにネコ科だけど、マキちゃんにアレが子猫に見えてるの?」
「…虎だとでも言いたいの?」
笑って答えるマキに、犬山は答えず、陽気な表情のまま鼻から手を離した。
戀兎の面倒を見終わった水森がマキの肩に手を置いて
「火浦君はこの学園に来て、今、いろんな人と出会って、色々選択肢が増えてるんですよ、それを目の前チョロチョロしちゃまずいでしょ」
「ふーん」
「マキ、私は忠告しましたからね」
「…はーい♪」
「マキちゃん、人の恋路を邪魔するものは馬に蹴られてなんとやら…」
「虎じゃないのかよ…」
マキは二人の話を話半分に笑って流し。
三人は1度部屋に出ることにした。
三人が出て行き、部屋には静かな戀兎の寝息だけが聞こえていた…
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