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喝
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「嫌です」
マキの提案を即座に却下する夕祐
「えー、ちょっとは考えてよ~」
子供みたいな拗ねた声で、夕祐の服の裾を引っ張るマキ
「離して下さい」
「ゆうちゃんに生徒会手伝って貰わなきゃ、僕がゆうちゃんと会う機会が少ないじゃない?」
ちょっとづつ近づいて、ベットに座る夕祐にピッタリくっついて夕祐を見下ろす
「な、無くていいじゃないですか」
至近距離に迫られると、マキの甘い香水の香りが濃くなって、なんだか思考が鈍くなるように感じる
マキ先輩は何がしたいんだ?
「酷いなぁ、僕はゆうちゃんとお近づきになりたいんだけどなぁ…、気に入ったって言ったでしょ?」
また、怪しい雰囲気を醸し出すマキ。子供っぽくなったり、妖艶になったり全くめちゃくちゃな人だ
「僕が好きなのは戀兎ですから」
「正直ィ~」
「ばれてるのに隠したってしょうがないでしょ?」
まじかまで迫ったマキを押し返す。
マキが一歩下がって首を傾げ「ふーん」といいながら口角を上げた
「…なに?」
「なんでもない、生徒会の件は考えておいてよ♪」
マキが左手をヒラヒラさせてドアに向かった、夕祐は慌てて立ち上がる
「だから!しませんって!」
「手伝ったら、戀兎にも会えるよ」
「…だから」
「まぁ、また改めて迫りに来るし」
マキがニヤリといやらしく笑ったので、夕祐は軽く睨み返す。
「今度は色々準備しておくから♪」
「マキ先輩!」
「あは♪怒った顔も、きゃ、わ、い、い♪」
どこまでもふざける男はケタケタ笑ながら、夕祐の部屋を後にした。
次…もし、暗がりでひと気のない場所だったりしたら、やばいかも…
水森先輩に相談した方がいいかも…あの人ならマキ先輩の扱い知ってそうだし…
企みたっぶりに怪しく光る眼鏡をかけた水森が脳裏を過る
あの人も大概怪しいけど…
長いため息が口から漏れた
もう一度戀兎の様子見に行こうかな?うーん。
あっ、そういえば、ありさに返事してないや…、昨日はアレのせいでひどい目にあった、ありさには厳重注意しなくては!
夕祐は机の奥に仕舞ってたありさの封筒から手紙だけ抜き取って読み返す。
今の状態をありさに話したらなんて言われるだろう?
とりあえず頭はたかれてバッカじゃないって言うだろう。ありさは酷くサッパリ男前、ついつい暗い発言をすると決まってひっぱたいて喝を入れる。
なんとなく、茶封筒から同人誌を取り出して、パラパラめくる…
『決めた』
15ページ1コマ目、ゆうすけが立ち上がって叫んだ
『僕、先輩と同じ学校に行く』
隣にいた友人が目を丸くする。
『マジ?』
『うん!行って、確かめて、それから告白して、駄目ならそばで見ていたい、可能なら好きになってもらいたい』
『…気持ち悪いって言われるかもよ』
『…かもしれないけど、れんとは言わないと思う、優しいから、避けたりもしないんじゃないかな?優しいから』
『おいおい』
『だから、そばにいて、好きになってもらえるように男を磨く!』
『男がダメだったら?』
『…可愛さを磨く!』
『ぎゃは!前向きー』
『高校3年間使って口説いてくる!』
『そのいきそのいき!俺応援するし、お前は落ち込んでるよりそっちの方が可愛いぜ』
『…そう?』
『あー、強くてまっすぐで眩しくて賢い、そのまままっすぐ進み続ければいい、お前は人が傷付くような間違ったこたはしないから』
…
…
パタリと同人誌を閉じた。
ああ、最近の僕はありさに見せられない…
啖呵を切って、乗り込んだのに、再会した戀兎はやっぱりかっこ良くて…会うたび心臓がバクバクして、惚れさせるどころか、惚れ直して、思わず告白して撃沈。
かっこ悪い。
かっこ悪い。
男としてかっこ悪いぞ!!僕!!
夕祐は両手で自ら喝を入れるために頬を両側から挟むようにはたく
ーバシ!!
「いっっったぁー」
ありさならこれぐらいする
ありさなら、きっと、ばっかじゃない…ガンバンなさいよ!そう言ってる。
「あー、目ェ覚めた」
夕祐は、両頬を腫らしながら、清々しく背伸びした。
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