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機転
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力のこもった戀兎の手から少しづつ力が緩められ、そのことに夕佑の神経は集中して行く。
「ゆ!夕佑さん!」
研ぎ澄まされた神経は、岩龍のビックリするぐらい大きな声に遮られた。
勢い良く岩龍が背中側から首に巻きついて夕佑をギュウギュウ締め付ける
「ご、ごめんなさい!怪我はないですか?!」
「ぐえ!が、岩龍く…ん、く、くるし…」
岩龍君の腕で隠れたキスマーク、きっとわざとやってくれてるんだということは分かったが、なんせ力が入りすぎてる
その間、戀兎の手は離れることはなかった。
「2人とも痛いところない?」
「僕は大丈夫」
「寮内を走らないように」
「はい…」
返事をした僕と違い、岩龍は返事をせず、夕佑に張り付いたままうつむく、その様子に戀兎が優しく問いかける
「岩龍君痛むの?」
「あ、あ、足が…」
消え入りそうな声でつぶやき、
戀兎は岩龍の頭を屋優しく撫でた
「医務室に連れてってあげますよ、おいで、おんぶしてあげます」
こちらに背中を向けた戀兎が手を後ろに回し、「遠慮しないで」と優しく微笑んだ。
岩龍が夕佑から離れ、戀兎におぶさろうとしてる間に、夕佑は襟元を浮かせて隠すようにしてみる。
「岩龍君ごめんね」
本当にごめんなさい…いろんな意味で
「大丈夫ですよ」
「岩龍君しっかり捕まってください」
戀兎が立ち上がると、数人いた野次馬がバラバラと離れていく、食堂の人混みをかき分け医務室に向かう戀兎の背中を眺め、ハッとする、夕佑は慌ててトイレへ向かった。
誰もいないのを確認して、トイレの鏡で首を確認する。
小さいけどしっかりキスマークだ。
「はぁ〜〜、何これ、昨日はなかったのに」
自分の言葉にハッとする。
昨日…
そうだ、昨日マキさんと出くわして、首に噛みつかれた!痛かったからそう思ったけど…キスマークつけられてたんだ!!
相手が分かってスッキリしたような…しないような…複雑な感情渦巻く中、岩龍君が抱きつく時に忍ばせてくれた絆創膏を首に貼った。
最初に見つかったのが岩龍君で良かった…めちゃくちゃ気が利くし…空気読むのうまいし…岩龍君…なんで友達いないんだろう?
すっごくいい子なのに…
自分の問題がいつの間にか岩龍の問題にすり替わり…爪の甘い夕佑は、絆創膏で隠せば全部隠せると思っていた…
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